第一章
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の言葉を聞いてまた頷いた。
「いっている。元々彼等は少数派だ」
「それに外国の勢力と結託していましたし」
そうした勢力も多かったのだ。この国は隣国との関係が悪くその国からの工作員も多数潜り込みそれが政情不安の原因にもなっていたのだ。
「それを考えればこれも当然でしょう」
「そうだな。私にとっては不穏分子がいなくなって何よりだ」
彼はそのことに満足することしきりであった。
「これで安心して国家の復興にあたれる」
「そうですね。今我が国は経済的に破綻しています」
リンデンバーグの言葉はその通りだった。この国は経済的に完全に破綻してしまっており世界の中でも最貧国だった。シュツットガルトはそれを憂えてクーデターを敢行したのだ。
「今は国を完全にまとめそのうえで復興及び発展にかからなければなりません」
「その通りだ。ではこれからも」
「不穏分子の摘発には国民に協力してもらいそのうえで経済復興に専念する」
シュツットガルトは述べた。
「それでいいな」
「そうあるべきです」
リンデンバーグも彼の言葉に頷く。こうしてこの国は彼等の指導の下経済復興を進めていった。ある大国と国交を結びその援助も受けその復興はさらに早まった。しかしここで彼等を批判する勢力も出て来た。
それは中になかった。外にあった。彼等はこの国の外からシュツットガルト達を声高に批判した。
「人権弾圧だ!」
「全体主義だ!」
こうしたシステムの国家に対する批判としてはいささかステレオタイプになっている批判だ。だがこの時もそれが為されたのだった。
「独裁政権の延命を許すな!」
「打倒しろ!」
「勝手に言っていろ」
しかしそれに対するシュツットガルトの態度はこうであった。
「勝手にな。言っていろ」
「全くです。せめて国内に来て言えばいいものを」
リンデンバーグも彼と同じ意見であった。
「最もそうすれば即座に国外退去ですが」
「その場合は速やかに出してやれ」
シュツットガルトはこう言っておくのを忘れなかった。
「外国人に何かすれば後が大変だからな」
「はい、それはわかっています」
彼もそれは当然ながらわかっていた。すぐにシュツットガルトに対して応えることができた。
「実際に僅かに潜入している外国人はそうしています」
「文化人やジャーナリストはいい」
シュツットガルトは彼等はいいとした。
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