決闘-ファイト-
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「やっちまった…!」
いくらムカついていたからって女の子相手に言い過ぎたかもしれない。この世界に来てからの苛立ちと鬱憤を一気にすべて吐き出したサイトは自己嫌悪に陥っていたが、今はある意味もっと重要な問題を抱えていた。
「腹減ったな…」
そう。この腹減りをどうしのぐかだ。ルイズの用意した食事とも言い難いあの侘しい朝食セットを口にしないままだったのは、
ぐーぐー鳴る自分の腹を抑えながら、サイトは唸った。
「サイトさん、どうしたんですか?」
ちょうどそこで、タイミングよくシエスタが現れた。
「ああシエスタ。実は今、腹減っちゃってて…」
「そうなんですか?だったら厨房に来ません?賄い食がまだあったと思うので」
彼女は学院の校庭の端に建てられていた二階建ての小屋へ案内する。そこがこの学院の厨房だった。
厨房で用意された賄食だが、その味はとても絶品だった。これらは生徒たちが食事で残したものだと言っていたが、こんなものを残した生徒たちの舌を疑いたくなった。
「まいううううううううう!!!」
もう地球ではだいぶ前に流行って忘れられつつある言葉で、喜びを表すサイト。リスのように口に食べ物を詰め込んでる辺り、相当の感激だったらしい。
「それにしてもサイトさん、ミス・ヴァリエールからご飯貰えなかったのですか?」
「固いパンだったよ。どうせ昼もそんなだろうから…」
「大丈夫なんですか!?貴族の方にそのような態度で…」
不安げに尋ねるシエスタだったが、サイトはルイズの他人への態度とは思えない行いを思い出して憤慨した。
「貴族がなんだよ。魔法が使えるからとか身分が高いからって威張りやがって!確かにそりゃ能力としちゃすごいとは思うけどよ」
昨日の夜からサイトは苛立ちの境地だった。クール星人に誘拐されかけて命が助かったまではよかった。だが、見知らぬ場所にいきなり呼び出され、謝りもせず藁で寝かして、朝食は固いパンにまずいスープ?誰だって嫌になるだろ!とブツブツ言いながら。
それに魔法…よくよく考えれば、確かに地球人から見るとすごく、そして面白い能力だとは思うが、これまで幾度も地球で暴れた怪獣や異星人の強大な力と比べると大したものではない。
「す…すごい!サイトさん勇気あるんですね。貴族に媚びたりへつらったりしない立派な姿勢。
尊敬しますわ!」
「い、いやぁそれほどでも…」
シエスタの言葉は決してお世辞ではなかった。憧れに近い眼差しでサイトを見ている。サイトの言葉を聞いたシエスタは尊敬の眼差しで彼を見つめながら褒め称えると、サイトは照れながらも謙遜の言葉を口にした。
「ですがほとんどの方が魔法主義の方です。中にはオスマン学院長のような、平民や貴族関係なく皆を公平に扱う立派な貴族もいますけど…」
彼女が言うにはこの
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