<2:if編>
ティアナの場合 CASE-1
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ルグはティアナに背を向ける。
(あ、帰っちゃう・・・)
ゲオルグが振り返る姿を見て、ティアナはとっさにゲオルグの手を掴んだ。
歩き出そうと一歩を踏み出しかけたゲオルグはその感触に足を止めて向き直った。
「もう遅いですし・・・泊まっていきませんか?」
ティアナがそういった瞬間、ゲオルグはその表情をゆがめる。
「何言ってんだ。 そんなことできるわけないだろ」
「でも、外はまだ雪だからタクシーを拾っても時間はかかるし、
電車ももう走ってないですよ。
それに、家に帰っても誰もいないんですよね?」
「そういうことを言ってるんじゃない。 女性の一人暮らしの部屋に泊まるのは
拙いって言ってるんだ」
「・・・私はいいですよ、ゲオルグさんとなら。 だって・・・」
ティアナはゲオルグの手を引っ張って自分のほうに引き寄せると、
その唇に自分の唇を合わせた。
時間にして数秒。 短い口付けのあと唇を離すとゲオルグに笑いかけた。
「ずっと、あなたのことが好きだったから」
「なっ・・・」
突然のキスに驚きしばし硬直するゲオルグ。
その硬直が解けたとき、ゲオルグは狼狽した表情を見せる。
「な・・・何をバカなこと言ってんだ。 俺は帰る」
そう言って立ち上がりかけたゲオルグの手をティアナは強く引いた。
中途半端な姿勢で手を引かれ、酒の力も手伝ってゲオルグは
ベッドに向かって倒れこむ。
ふよんという柔らかな感触がゲオルグの顔を包む。
それもそのはず、ゲオルグはなのはやフェイトに比べれば小ぶりとはいえ
十分に豊かといえるティアナの胸に顔をうずめる格好でいた。
その事実に気づきあわてて身を起こそうとするゲオルグ。
だがその行動は、ティアナが彼の頭を抱え込んだことで果たせなかった。
「さっき、言いましたよね。 今日は甘えてもかまわないって。
だったら最後のお願い、聞いてもらえませんか?」
「・・・何を?」
呆然とした表情で訊くゲオルグ。
彼女の顔を見上げるその顔に向かって、ティアナはふわりと微笑む。
「あたしの初めて、奪ってください。 キスも、その先も、ぜんぶ」
ティアナが笑顔のままそう言い切ると、ゲオルグは呆然とした表情のまま固まった。
しばし、無言の時が流れる。
1分ほど経ったときだったであろうか、ゲオルグはゆっくりと口を開く。
「でも・・・そんなこと・・・・・」
そう言いつつ、ゲオルグは自分の下半身が膨らみつつあることを自覚していた。
なのはが実家に帰ってもう1週間はたつ。
妻子ある身とはいえ、ゲオルグもまだ若い男である。
まして、なのはとは毎日夜の営みを交わしていた。
それが1週間絶えているのである。
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