第六章
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」
「そっちだって昔の松田聖子とかな」
「聖子ちゃんいいだろ」
「今でもやってるのがわかるよ」
やはりいささか素直ではないがそれは認めるのだった。
「ああいうものがあるからなんだな」
「そういうことだよ。そっちのあややか」
「ああ」
言わずと知れた松浦亜弥の通称である。軍平の世代ならこの名前を知らない人間はいない。いささか歳は向こうの方が上であってもだ。
「ついつい口ずさんでしまうな」
「それがあややの歌なんだよ」
「この前電車の中で思わず口ずさんでしまってな」
お父さんの言葉が苦笑いになっていた。
「気付いた時はちょっとな」
「そういうのは止めてくれよ」
「ああ。しかしな」
それでも。お父さんは気付いたのだった。
「やっぱりな。いいものはいいな」
「そうだろ?今のアイドルの曲だっていいだろ」
「ああ。それで」
お父さんは息子の言葉に頷いてからまた彼に尋ねるのだった。
「御前はどう思ったんだ?」
「俺!?」
「そうだよ、御前だよ」
また彼に問うのである。
「御前は。俺達の年代のアイドルは」
「悪くはないな」
背中を向けたままなのは相変わらずだが言葉は真面目だった。
「おニャン娘クラブにしろ小泉今日子にしろな」
「中森明菜はどうだ?」
「今度ギターでやってみる」
認めたということだった。
「ちょっとな」
「そうか。それにしてもな」
お父さんの言葉は笑顔になっていた。
「いいものだな。今の曲もな」
「昔の曲もな」
お互いの世代の曲を認め合う二人だった。そして別の部屋ではお母さんと美智代がAKB48やそのハロプロと早見優や松本伊代を聞き比べながらにこにこと話をしていた。お父さん達も軍平達もいいものはいいと認めてその心を幸せにさせた。音楽は人の心を幸せにするのはこの一家においても同じであった。
ジェネレーション=ミュージック 完
2009・1・7
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