……やっと、
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はこうやってしがみつく事さえ減少の域である。
『何、その態度っ!?人がせっかく来てやったのに』
『あぁ、ありがと……なんていうと思ってるのか?』
『なっ!?……ムカつく』
『二人ともやめなさいっ!』
火花を散らすかの如くこちらを睨んでくる花桜にこれ以上相手にするものかと背を向け、不器用に左の拳で涙を拭う。
……泣いて損をした。
最近、兄弟仲のことで彼女に怒られることが日に日に増えている。
以前はそんなことは年に数回あるかないかだったのに……全く…………これ以上自分の株が下落したらどうしてくれるんだ。
『………………そんなに無理やり擦ると跡に残る。こっちを向け』
その様子を見兼ねた右近はいいよと逃げ回る彼を半ば強引に腰に腕を回し、滑らかな指で顎を固定し身動きできないことを確認してから自らの袖にそれを含ませる。
その尋常ではない様子に何故かまた不機嫌120%を越えそうな目で睨まれた。
何故だと疑問に思う前に彼女はまるで今まで胸に畳んでいた不満を爆発させるように強く結んでいた口を大きく開け、一気に毒を撒き散らかす。
『何よっ!いつも紫紺紫紺ってバカじゃないっ。本当の兄妹でもないのに兄貴ヅラしないでよっ……!?』
怒りのあまり捲くし立てる花桜を襲ったのは今にも手を上げそうな母ではなく、年季のあるごつごつとした男性の掌だった。
病院の冷たい廊下には何人かの看護師や寝巻き姿で歩いたり車椅子に腰掛けている入院患者や診察を終えた患者たちがその乾いた音に驚いてこちらに振り返ったがその瞬間は凍てつき、家族の誰も動こうとはしない。
『紫紺は何があっても私の息子であり、お前の兄に変わりない。それを覆す権利はお前にはない』
頬を押さえる手の甲が震えているのはきっと叩かれた時に生じた痛みだけではないだろう。
瞳からは次第に溢れ出した雨垂れが顎に溜まり、煌めいて廊下に落ちる。
娘の両肩に腕を回して抱き寄せる彼女の顔もどこか厳しそうに見えるのがとても複雑に思えた。
きっと、言われた自分より言ってしまった花桜の方が辛いはずだ。
この言い回しは好きではないが、今は信じてみてもいい気がした。
両手を握り締め二人の顔を見上げる。
『父さん、母さん。…………やっぱり僕は家を出ようと思います』
視線が痛い、家族以外にこんなに見られて良く芸能人は平気でいられるなと感心してしまう。
『でも、僕はこの夏休みを通してそれを本当に実行できるかどうか自
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