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【SAO】デスゲーム化したと思ったらTSバグに巻き込まれた件
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「はぁっ……はぁっ……はぁっ……っ」

 あの運命の日。 日常が強制的に奪い去られた日。 ついでに性別も奪われた日。
 そして、クラインと別れたあの日からもうすぐ一か月が経過しようとしている。
 2000人近いプレイヤーが死に、であるにも関わらず未だ第一層すらも突破できていない。

 暗雲とした空気がプレイヤー達の上に立ち込める中、キリトのレベルはこの一か月で大幅に上がっていた。

 理由は二つ。
 一つ目の理由にはTSバグ(と、キリトは呼ぶことにした)のせいで、ソロプレイせざるを得なくなったことが上げられる。

 ハラスメント防止コードが機能せず、同性である男性プレイヤーに襲われた事件はキリトの心に深い傷を負わせ、それが原因でキリトは野良PTを組むことが出来なくなった。
 身元のはっきりした友人などゲーム内どころか現実世界にすらいないキリトは結果的にソロプレイせざるを得なくなったわけだが、PTプレイよりもソロプレイの方が経験値の旨みが圧倒的に高いのだ。

 もちろん、PTプレイならばなんてことは無いような攻撃、(例えばPTなら回復して貰えば良いだけの麻痺毒等)が致命傷に成り得るのだからソロプレイは常に死と隣り合わせだ。
 しかし、リスクを回避する知識さえあればやはりソロ狩りの方が効率的であるのは間違いなく、βテスターであるキリトにはその知識があった。

 そして、キリトのレベルが高いもう一つの理由が――。

「チッ……しつこいな――!」

 森フィールドを疾走していたキリトはいつまでも追いかけてくる二人のプレイヤーのしつこさに、とうとう足を止めて剣を抜き、後ろを振り返った。
 やや息が上がっているのは体力の問題では無く、精神的な疲労によるものだ。

 少し間を置き、キリトを追いかけていたプレイヤーが追い付き、自分たちを待ち構えていたキリトの姿ににんまりと下卑た笑いを浮かべた。

「あれあれぇ? お嬢ちゃん、もう追いかけっこはおしまいかい?」
「まったく、失礼しちゃうよな。 俺たちはただソロは危険だから助けてあげようという親切心でPTに誘っているだけなのにさぁ。 随分時間を無駄にしちまった。 この落とし前どうつけてくれんの? ん〜?」

 キリトはゴクリと生唾を飲み込み、口角を上げて挑発的な笑みを浮かべた。

「ハッ、何が親切心だ。 下心満載な顔して良くいうぜ。 で? 随分しつこく追い回してくれたけど何が目的だ? ハラスメント防止コードの存在は知っているだろ? 数的に有利だろうとお前らは俺に指一本触れられやしない」

 幸いにしてTSバグの存在は殆ど知られておらず、キリトにハラスメント防止コードが機能しないことは初日にキリトを襲った男達とクライン以外は知らない(他に話を聞いていた者がいた可能性
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