第七章
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第七章
「一本気過ぎて周りが見えていないわね」
「ええ、確かに」
「それは」
このことは誰もがすぐにわかることだった。
「そして世渡りが下手ですね」
「退くことを知りませんし」
「だから困った存在ではあるけれど」
そうは言ってもであった。伊東はそれでも彼を評価しているのだった。実際にこうも言うのである。
「それでもいいわ」
「ではこのまま」
「活躍してもらいますか」
「清廉潔白な性格なのもいいわ」
伊東はこのことも評価していた。
「もっともそれが必ずしもいいかというとこの世界では一概に言えないけれどね」
「そうですね。それはどうしても」
「言えないものがあります」
ここが難しいところであった。政治の世界は裏の技も使えないと難しい場面もある。伊東が九尾の狐とまで言われているのにも理由があるのだ。
「ですがそれならそれで、ですし」
「頑張ってもらいましょう」
「ええ、そうするわ」
こうして彼は日本の改革派において活躍することになった。彼は国防政策を中心として盛んに法案を立案し議論を行うようになった。
それは与党になっても野党になっても変わらない。彼は政治家としてまさに派手に活躍したのだった。桂征四郎、彼の人生はまさに正面突破と突進からなっていた。
彼は議会でもだ。こう言うのであった。
「今の政府の国防政策はだ!」
「えっ、与党なのに!?」
「身内を批判するか!?」
かえって野党側からも驚きの声があがる程だった。
「しかも何だ?」
「今度は何を言うんだ?」
「なっていない。軍の配置が悪い!」
「それを言うのか」
「そう来るか」
与党側も野党側も唖然としながらそれぞれ言う。
「しかし。軍の配置まで調べているのか」
「相変わらずの勉強家ね」
「全く」
それでも褒められてはいた。彼はかなり熱心な勉強家であり続けているのだ。
そしてだ。彼はさらに言うのだった。
「重点はまずは蓬莱星系!」
その場所まで指摘してきた。
「そして若狭星系。続いて常陸星系だ!」
「それではです」
閣僚の方から声がしてきた。
「あの、何故その三つの星系なのでしょうか」
「はい、それですが」
彼はその閣僚に対しても言う。それは日本の国防大臣だった。
「それは我が国の交通の要衝だからです」
「つまりは」
大臣は彼の言葉を聞いて述べた。
「そこから有事に軍を向けるというのですね」
「そうです」
彼は毅然として言った。
「その通りです。今はただ全体的に配置しているだけです」
「確かに」
「それは」
このことについては他の議員達も頷く。
「言われてみれば」
「そうですな」
「我が国の治安は安定しています」
日本は連合の中では極めて治安がいい国の一
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