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ロウきゅーぶ 〜Shiny−Frappe・真夏に咲く大輪の花〜
Nine
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!!」

 静かに、しかし煌々と燃える蒼い闘志。かつて県屈指のスピードを誇ったその小さなエースの潜在能力が炸裂した。
 その神速はもっかんのマークについていたディフェンスを完全に置き去りにして、私とサキのマークも動員して尚振り切られる。
 あっと言う間にゴール前、しかし相手のセンターもでかい。正直言って、飛べば余裕でネットに掴まれるくらいの身長を持っている。
 かといって迷っている暇はない、恐らくこのシチュエーションでもっかんの潜在能力を見せつけられた今なら彼女一人を止めるのに人材の投入は惜しまないはず。

 「さあ、どうするエース!?」
 「逃げませんよ……私のコーチも、逃げませんでしたからっ!!!」

 高く弧を描くシュート。圧倒的に命中精度の悪い一撃だったが、普通に打っても弾かれるのだからしょうがない。

 「くっ……入れさせない!!!!」
 「それなら、入るまで攻めるだけです!!!」
 「よっしゃ、任せろッ!!!!」

 もっかんが打ったのは多少右寄り、入るか微妙だが守る側としてはカットせざるを得ない微妙な位置に打ち込んだのだ。

 それをカットすれば必然的にボールは右寄りで弾かれる。それを私は受け取った。

 「ぶちかませっ、打ち上げ花火(ファイアー・ワークス)!!!!」

 「おうっ、任せろ!!!!」

 みーたんの声を聞いても気恥ずかしさなど微塵もない。足も軽い。意識もはっきりしている。そしてその瞳はゴールを捉えて離さない。
 今なら飛べる。あの日の失態を断ち切るために……

 (決めてみせる、すばるんが教えてくれたこと、此処でっ……)

 (全て出し切るんだっ!!!!)
 「いぃいっけぇええぇええーーーっ!!!!!」

 ボールはネットに吸い込まれ……
 ピピィイイーーーーッ!!!!! ホイッスルが高々と鳴り響いた。

 「よっしゃぁあぁああああっ!!!!!」
 「ふう、まあやったんじゃないの!!?」
 「お疲れ、マホ」

 近くにいたサキとヒナが冷淡ながらも暖かく祝してくれた。やっと……本当の意味で全てが繋がった気がする。
 やっと戻れた。自分が居たかった場所に。

 「よぉし、まだ二点差しかないんだ。まだまだ突き放すぞっ!!!」
 「「「「おおっ!!!!!」」」」


 「はぁっ、はぁっ……っ、そぉおおおっ!!!!!!」

 結論、負けました。いや、本来一言で言い表すべきではないのだけれども。色々なドラマがあったのであるけれど、それはまた次の機会に。
 私はコート内に寝っころがり叫ぶ。だが……これだけ充実した試合も無かった。もしかしたら中学最後の試合が終わって以来のことかもしれない
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