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魔法少女リリカルなのは ViVid ―The White wing―
第二章
十九話 合宿終了!
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よるものだ。射砲撃も防御魔法も魔力制御の下手さと、無色の魔力と言う特製のせいで上手く出来なかったクラナに取っては、格闘技が一番楽しく、やりやすかったのである。
「ふぅ……」
ゆったりと息を吐き、拳を収めて残心を取る。やがてそれも収めると、クラナは真っ直ぐに立って、丁度視界に入った蒼い空を見上げた。
「……なぁ、アル」
[はい]
唐突な問いの口調に、即座にアクセルキャリバーが答える。其れはもう、彼等の間では当たり前になってしまった意思伝達の速さ。故に驚く事も無く、クラナは自らの愛機に問う。
「俺は……間違ってたかな……?」
[……間違ってた、とは?]
「……俺、今までずっと、なのはさん達になるべく関わらないようにって思ってきた。……同じ家に居て、そんなの難しいってのは分かってたけど……変な話、家の中でもお互いがお互いを居ないようにふるまう家って、この世界には普通にある……だから何時か、なのはさん達と俺、両方にとって、両方が居ないのと同じ状況に慣れたら、きっと俺達は、お互いから解放される。時間が全部を何処かへ置き去りにして埋め立てて、なのはさんはもう母さんを追い目に感じなくて済むし、ヴィヴィオは辛い事を思い出さないし、フェイトさんは俺達に気を使い続けなくて済む。そんな状況が、作れる筈だって思ってた」
[…………]
クラナは空を見上げて、小さく呟くように言葉を紡ぐ。
「俺の中の憎しみだって、あの人達から離れて行けばきっと、自然と消えて行くって、そう思ってた……でも……」
息を止め、自分の心を見つめる。どうしようもないほど醜く歪んだ其れは、未だに、沢山の怒りと憎しみを詰め込んだままだ。
「ライノの言う通りなんだ……苦しいままなんだよ……なんでなのか分からない。でも……ずっと俺は、何処かで苦しいって思ってたんだ……自分で選んだ筈の、この状況が……!」
[相棒……]
其れが、自分だけの苦しみであるならば、クラナはそれを甘んじて受け入れるだろう。自分が苦しむ事で、彼女達が笑顔で有り続けられるのならば、苦しみは無いも同然の物になるだろう。けれどならば自分が遠ざけ続けた先に有る
現在
(
いま
)
、自分が笑顔で居て欲しいと願った人々が笑顔で居てくれるのは、一体いつだ?
何時も不安そうな、何処か恐れるような顔を彼等が向けていた事に、クラナは気がついて居なかった訳ではない。けれど其れは、まだ自分が彼女達の傍に居るせいだと思っていた。だから高等部卒業と同時に家も出るつもりだったし、その為の針路もクラナは既に調べている。なのに……彼等は自分と向き合う時に限って、自分が彼女達の正面から向き合った時に限って彼女達は……まるで安心したような笑顔を向ける……!楽しそうな笑顔を向ける……!
自分が避ける時、彼女達は決して笑顔ではいないのに…
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