第三章
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ういう娘にこそね」
幸せになって欲しい、だからだというのだ。
「このお花にしたのよ」
「そうなんですか」
「確かにあまりブーケにはしないけれど」
「野菊はですね」
「いいでしょ、しかもね」
「しかも?」
「野菊って強いのよ」
紗友里は今度は野菊のその話もした。
「野原に咲く花だから」
「強いんですか」
「そう、そう簡単にはやられないから」
「じゃあ結婚も」
「そんなちょっとやそっとのことでどうにかならない様にね」
紗友里は綾音に微笑みを向けて話していく。
「やっていかないといけないものだし。私もだけれど」
「何か色々な意味があるブーケなんですね」
「そうよ、じゃあいいわね」
「はい、次は」
綾音は目を輝かせて紗友里に応えた、そのうえでこう言った。
「私が幸せになりますね」
「そうしてね、その時を楽しみにしてるから」
「はい」
綾音は満面の笑顔で綾音に応えた、そうしてだった。
綾音もその相手と紆余曲折もあったがそれでも式を挙げた、そして彼女もだった。
ブーケを持ってそれを後輩の娘に投げた、その花もだった。
「あんたも強く幸せになってね」
「野菊みたいにですね」
「ええ、そうよ」
紗友里、今は夫と共に式場にいて綾音を見守っている彼女と同じ様に言った。
「そうなるのよ」
「わかりました、じゃあ私も」
その後輩の娘も明るい顔で応える、野菊に込められた幸せは受け継がれていく。それはささやかだが強く綺麗な幸せである。
野菊 完
2013・12・1
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