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脚気
第一章
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それを見つけ出すのだ」
 そしてそれを聞いた陸軍の指導者である山縣有朋や寺内正穀は一旦は森の考えに頷いた。彼等にしても絶対に解決しなければならない問題だったからだ。
「とりあえず森にやらせてみましょう」
「そうだな」
 山縣もその厳しい髭の顔を頷かせた。
「脚気を何とかしなければな」
「露西亜との戦いどころではありません」
「露西亜か」
 ここで山縣の顔が曇った。清に勝ったと思えば今度は露西亜が出て来たのである。当時の日本にとってはまさに巨大な熊の如き敵だった。
 その露西亜と戦い勝つ為にはだ。まずは脚気なのだ。
「それはわかっている。だからこそだな」
「森を信じましょう」
「そうするか」
 こうして陸軍は森に任せることにした。もう一人の陸軍の領袖である桂太郎にとっても脚気は頭を悩ませる話だった。普段はニコポンという仇名の通り陽気な笑顔を見せている彼も脚気については笑うどころではなかった。
「とにかくあれを何とかしなければならん」
 彼もこう言うのである。
「さもないと本当に国が終わってしまうからな」
 しかし脚気患者は減らない陸軍では全ての将兵が脚気に悩まされていた。しかし一方の海軍はというとだ。
「何故だ?」
「これは何故なのだ?」
 海軍の首脳も彼等は彼等で頭を悩ませていた。脚気患者が続出していることは陸軍と変わりないのだが陸軍と事情が違っていたのだ。

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