第二章
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はっきりとした一重の目の瞼は長くやや家鴨の感じになっている唇は綺麗なピンクでそこから白い歯が見えている。卵型の顔も白い。
すらりとした身体を赤い上下のジャージで包んでいる。その遥がにこりとしてこう菫礼に対して言ってきた。
「あの、刈谷さん」
「どうしたんですか、コーチ」
「貴女いつもかなり熱心にテニスの練習をしてるけれど」
今もコートで素振りをしている菫礼に言う。
「それはどうしてなの?」
「はい、スポーツをすれば綺麗になれるって」
「そう言われたからなの?」
「友達に言われました、牛乳を飲んでスポーツをすれば」
「よく言われるわね、確かにその通りよ」
「やっぱりそうなんですね」
「ええ、ただね」
「ただ?」
「それだけじゃないから」
笑顔でだ、遥は菫礼に話す。
「綺麗になる方法はね」
「そうなんですか」
「そうよ、魔法が必要なのよ」
こう言うのだった、優しい笑顔で。
「それが大事なのよ」
「綺麗になるにはですか」
「そう、魔法がね」
菫礼のきょとんとした顔を見つつ微笑んで述べる言葉だった。
「必要なのよ」
「あの、魔法って」
菫礼は魔法と聞いてだ、きょとんとしながらもこう返した。
「魔法なんて本当は」
「勿論魔法使いが使う魔法じゃないわよ」
それには限らないというのだ。
「というか私は魔法使いじゃないから」
「そうですか」
「そうよ、それでその魔法はね」
何かとだ、遥は話した。
「好きになることよ」
「好きにですか」
「そう、誰かを好きになることよ」
そうすることだというのだ。
「誰かをね」
「ええと、私お母さん大好きですけれど」
この頃の女の子らしく父親には反発しだしている、愛する娘に疎まれたり嫌われたりと男親というものは実にそんな役回りである。
「そういうのじゃないんですか」
「恋よ」
これが遥の言うことだった。
「恋をするのよ」
「恋っていうことは」
「誰か男の人を好きになりなさい」
「そうすればですか」
「そうよ、綺麗になれるのよ」
「じゃあ私も恋をすれば」
「綺麗になるわよ、いいわね」
「ううん、誰を好きになればいいんですか?」
そう言われてもだった、菫礼はよくわからなかった。今すぐ言われたことだからであるがまだそうしたことはわからないのだ。
それでテニスラケットを手にしたまま戸惑った顔になる、遥はその菫礼にくすりと笑って、わかっている顔で答えた。
「兄弟かもう相手がいる人以外でいいと思った人をね」
「好きになればいいんですね」
「そう、その人に恋をすればいいのよ」
「格好いい人や優しい人ですか」
「性格はよく見てね」
遥はこのことを言うことを忘れなかった。
「いいわね」
「性格って大事ですよね
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