第二章
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「あんな小川じゃ」
「とてもね」
「あの妖精大きいから」
「一跨ぎで来るわよ」
その大きな馬の身体でだというのだ。
「それじゃあ」
「森ので逃げよう」
「何とか」
そこなら何とかと思ってだった、子供達は何とか丘の近くにある森の中まで逃げ込もうと考えた。そこで木に隠れるつもりなのだ。
それでだ、森を目指す。だが。
ここでだ、妖精はというと。
来なかった、何とだ。
小川の前で立ち止まっていた、それで全く動かないで。
子供達をその単眼で見ているだけだ、子供達はそれを見て首を傾げさせてそのうえでこう言い合ったのだった。
「あれっ、追いかけてこないね」
「どうしてかな」
「あんな小川何でもないのに」
「どうしてかな」
「一体」
「とにかく助かった?」
妖精が追いかけてこない、だからだった。
「これなら」
「そうよね」
「じゃあ妖精が帰るまで待とう」
「そうしようか」
「それじゃあね」
こう話してだった、子供達は妖精が去るまで待った。妖精は暫く子供達を見ていたがやがて海の方に引き返した。そしてある日のこと。
厩を襲ったが村の者が丁度馬の身体を水で洗っていた、するとだった。
妖精は去って行った、それも見てだった。
村の長老のオズビー爺さんがだ、こう言ったのだった。
「若しやな」
「若しや?」
「若しやといいますと」
「あの妖精は海から出て来るな」
まずはこのことから言う長老だった。
「そうじゃな」
「はい、そうですね」
「それは」
「海の水には慣れておる」
それはというのだ。
「しかしな」
「しかしですか」
「何かがあるんですね」
「普通の水はどうじゃ」
「川の水ですか」
「それならですか」
「そうだ、そうした水ならだ」
即ちだ、塩水ではない普通の水ならというのだ。
「あの妖精はどうだ」
「じゃあやってみますか」
「今度あの妖精が出て来たら真水をかけますか」
「それも大勢で」
「沢山の水を」
「皆桶を用意しろ」
水を入れるそれをだというのだ。
「そして今度村に妖精が出て来た時にな」
「一斉にかけるんですね、真水を」
「そうするんですね」
「そうだ、何時妖精が来てもいい様にな」
まさにだ、今のうちにだというのだ。
「用意しておけ」
「はい、わかりました」
「それなら」
村人達も長老の言葉に頷いた、そうしてだった。
川や井戸のところに行きそれぞれの桶を真水で満たした。そのうえで何時妖精が来てもいい様にした。後は妖精が来るだけだった。
そしてそれから数日後、遂にだった。
妖精が海から出て来て村に襲い掛かって来た、それを物見の櫓から見てだった。
長老は息子にだ、こう言った。
「すぐに村の鐘を鳴らせ」
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