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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百二十三話 要塞建設
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。新しく艦隊を編成するわけにもいきませんしね。それなら要塞を造って貰った方が同盟の安全保障のためになります。軍人達は満足していますよ。彼らが恐れているのは和平ムードに浸って国防が疎かになる事なんです」
アブローズ委員が“そうなの?”と私に問いかけてきました。
「そうですね。フェザーン回廊の出口に要塞が有れば帝国軍はそれを無視は出来ません。攻略するか、或いは抑えの艦隊を残して同盟領に侵攻するかです。侵攻する場合には抑えの艦隊は最低でも二個艦隊は必要です。そうなれば遠征軍の総兵力は最低でも四個艦隊から五個艦隊は必要になる。コストパフォーマンスを考えればかなり効率が悪いといえます」
皆が頷いています。もうちょっと続けよう。
「それにもし侵攻した帝国軍が敗北すると最悪の場合追撃してきた同盟軍と要塞にいる同盟軍によって挟撃されかねません。大敗北を喫する危険性が出てきます。となると要塞を攻略するのがベストなんですが十分な艦隊戦力がある要塞は攻略が難しいんです。イゼルローン要塞がそれを証明しています。抑止力としては十分だと思います」
“なるほどねえ”という声が聞こえました。凄い、私。皆に感心されてる。でも半分以上ヴァレンシュタイン大将に教えられた事なのよね……。
「軍事産業も喜んでいますよ。軍艦の建造なんて何時打ち切りになるか分かりません、極めて不安定です。それに比べれば要塞建設は七年かかりますし一旦始まれば打ち切られる事も無い。この七年の間に経営を軍需中心から民需中心に切り替えられます。企業の救済っていう意味も有るんです」
「となると要塞建造は必要不可欠か。道理でヴァレンシュタイン委員長の所に国防委員会や軍事産業の人間が最近来るわけだ」
バーバー委員が呟くとデロリアン委員が“頼りになりますからね”と答えました。実際国防費に目を尖らせるレベロ委員長もヴァレンシュタイン委員長には一目も二目も置いています。ネグロポンティ委員長が頼りにするのも無理は有りません。
「しかしフェザーンは如何思うだろう、当然だけど面白く無いわよね?」
「確かに面白くは無いでしょう。しかしですね、パール委員。これは受け入れざるを得ないんですよ。それがフェザーンの安全と中立を保障する事になるんですから」
デロリアン委員の言う通りです。要塞を造るのは同盟だけではありません。帝国もフェザーン回廊の帝国側に要塞を造る事で合意が出来ています。そうする事でお互いに攻め込み辛くする。その事がフェザーンの安全と中立を保障するのです。
「ウチの委員長はなかなか強かで辛辣ですよ。安全と中立を保障するとは言っていますが要塞が出来上がれば帝国、同盟は何時でも回廊を封鎖してフェザーンを締め上げる事が出来るんです。フェザーンは生殺与奪の権を握られた、そんなところですね」
皆頷
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