暁 〜小説投稿サイト〜
やはり俺がワイルドな交友関係を結ぶなんてまちがっている。
結果として、比企谷八幡はまた独りになる。
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ん、田舎だな。
ガソリンスタンドに店員を常備してる時点で田舎。
今時都会じゃセルフサービスが多いってのに。

「今日はどうされたんで?」

「ああ、こいつらが都会から越してきてな。その迎えの帰りだ」

「へえ、都会すか」

「ああ…………満タンで頼む」

「かしこまりましたー」

堂島さんは車から離れて一服しだす。
様になってんなー、なんて思っていると店員がこっちに寄ってきた。

「君、都会から来たんだって?」

「…………あ、俺っすか」

一瞬小町に話しかけてるのかと思ったよ。
見ると小町は通り沿いの商店街をうろうろしていた。

「うん、君だよ。都会からくると、ホントなんにもないとこでしょ」

「はぁ……まあ、そうですね」

ああ、出来事の端々から田舎を感じる…………何で仕事中に世間話しちゃってんの?そりゃお客様とのコミュニケーションは大事だけどさ。

「もしヒマだったら、ウチでバイトするといいよ。ウチ、高校生もオッケーだしさ」

かと思ったら勧誘でした。仕事してんねー、店員さん。

「まあ、考えときますよ」

こんな眼の腐った男に接客させていいならね。

「うん、頼むよー」

そんな風に言って、店員は手を差し出してくる。
……………………?
………………ああ、握手か。あんまりナチュラルに手を出してくるから、何かとおもった。別に殴られるのかと思ってビビってなんかいない。

変に間が空いてしまったが、とりあえずこちらも手を出しておく。

「じゃあ、そういうことでよろしく」

「はあ…………」

「おっと、仕事に戻らないと」

そう言って店員は車の方へ戻って行った。

…………あれ、さっきのって実は俺の人生初の握手だったんじゃね?
物心ついてから他人と握手した記憶ないし。

そんなことを思っていたときだった。

「…………っ」

突然の頭痛に、俺は思わず頭を抱えた。
間違いなく人生初めてのレベルの痛みだ。インフルエンザで四十度の熱を出した時でもここまでではなかった。

「…………キミ、大丈夫?」

気付くと、目の前に少女が立っていた。

…………何か、パンク? ですね。
少女のまとう不思議な雰囲気に、思わずまじまじと見つめてしまう。

「調子、悪そう」

面倒くさそうな口調からは分かりづらいが、どうにもこちらを気遣ってくれているらしい。

「…………いや、大丈夫だ」

事実、痛みはいつの間にか引いていた。
心の中に、目立つ感じの人とは極力関わりたくないという気持ちがあることは否定しないが。何ならどんな人間とも関わりた
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