暁 〜小説投稿サイト〜
やはり俺がワイルドな交友関係を結ぶなんてまちがっている。
結果として、比企谷八幡はまた独りになる。
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りました。

今更ながらに後悔が渦巻いてきた。

何故俺はMAXコーヒーを事前に叔父さんの家に送っておかなかったのだろう。今の残金なら、少なくとも1ダースくらいは送れたというのに。

寂しい右手で暇つぶし付き時計ならぬスマホをいじる。

無料のソーシャルゲームは似たようなものばかりで飽きてしまった。
なので、今まで開封するのが面倒で溜めていた二人からの生存確認メールを開いてみることにした。

雪ノ下のものは奉仕部の依頼が今日はなかっただの財津くんが来て面倒だっただの、由比ヶ浜のものは大抵がクラスや授業のものだったが、要するに結論は全て『返信しろ』で、苦笑してしまう。
マジで生存確認メールじゃねぇか。

最後に、さっき来たばかりの雪ノ下のメールを開いた。

『 from雪ノ下
比企谷くん、五分で着くわ。電車には乗らずに待ってなさい』

「…………ははっ」

最低限の内容しか書かれていない簡素なメール。思わず乾いた笑いがもれた。

「…………ホント、バカだろ」

電源を切ってポケットにしまう。
小町がちらりとこちらを見た。

「……どうしたの?」

「なんでもねぇよ」

他に答えようなどないだろう?

「そっか」

それっきり会話は無くなった。





『続いては議員秘書生田目太郎の不倫問題についてのニュースです。生田目氏の山野アナとの不倫について、正妻である演歌歌手、柊みすずは…………』

八十稲羽に到着した俺たちは今、迎えに来てくれた叔父である堂島さんの車に揺られている。
誰も喋ろうとしない車内にノイズ混じりのラジオの音声が響く。

初対面ではその強面から雑破そうな印象を受けた堂島さんだが、意外にも『この度はお悔やみ〜』から始まる定型文を口に出すことはなかった。
それが気遣いからくるものなのか単純に何を言えばいいのか分からないからなのかは判別がつかないが、どちらにせよ俺にとっては好都合だ。

それは今の車内の沈黙然り。
無料に話しかけようとしない、もしくは必要以上に干渉しないその姿勢には好感がもてる。
この人となら上手くやっていけるかもしれない。
そんな風に期待してしまっている自分に気づき、少し口の中に苦いものを感じた。
…………まあいい。時間ならたくたんある。
この人のことを知るための時間は。
これから、それこそ家族のように暮らしていくことになるのだから。

「すまん、ちょっと寄らせてもらうぞ」

そんな言葉とともに、車はガソリンスタンドに入った。

堂島さんに続いて車を降りると、店員が駆け寄ってきた。

「らっしゃーせー」

…………う
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