第十一章 追憶の二重奏
第九話 新たな光
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られるように感じる。しかし、思考に対して身体は全くついていかない。思考だけが廻り、身体は全く動こうとせず。ルイズは迫り来る死を前にしてただ立っていることしか出来ないでいた。
あ、れ?
―――うそ……これで、終わり、な、の?
わたし……死んじゃう?
迫る剣先が作った影が顔を覆い、避けられない死を強制的に自覚させる。
死ぬ?
脳裏に斬り潰され、赤黒い塊となった自分の姿が過ぎる。
っ―――い…や。
―――死んでしまえば、会えなくなる。
そんな、のは―――いや。
シロウに会えなくなってしまう。
だって、まだ、何も―――。
会えなくなれば―――
わたしは、何も―――ッ!?
ヨルムンガンドの剣が押し出した風が身体を激しく叩きつける。
間延びした思考の中、様々な想いが生まれる度に泡のように弾けて消えていく。
そんな中、死の影を間近にしてルイズの心の中で何かが形に成りかけ―――。
―――同時に剣が身体に触れ、
「―――ルイズッ!!」
―――直前裂帛の声と同時に身体が千切れるかと思うほどの勢いで引っ張られた。
「―――っぁ、え!?」
目に映った景色がブレた
骨が軋みを上げ、肉から奇妙な音が響き、内蔵が片側へ寄ったかのような奇妙な違和感が。
意図せず上がった戸惑いの声は、強制的に移動させられた内臓からの抗議の声のように酷く重く湿ったもので。
自分が誰かに掴まれ移動させられていると理解した時には、既に先程いた場所から遥かに遠くの場所にいた。
止まった瞬間、内蔵が元の位置に戻る。湧き上がる鈍い腹痛により涙に滲んだ視界の中に、ルイズはヨルムンガンドの剣が目標が消えたことに気付かずそのまま地面に激突する瞬間を目にした。
砕け、震える大地。
あのままあそこにいれば、自分はただの血の塊となっていたと知り、ルイズは腰が抜けたようにペタンとその場で尻餅をつく。
視線の先は、固定されたかのように大地に突き刺さった剣を引き抜こうとするヨルムンガンドから動かない。少しでも目を離せばヨルムンガンドの剣がまた落ちてくるのではと言う恐怖のため。
そんなルイズの前に立つ影が一つ。
ルイズとヨルムンガンドの間。
地面に座り込み怯え震えるルイズを守るよう立つのは、
「―――無事ですか?」
白銀と紺碧に輝く甲冑を身に纏った。
「―――あ」
夢に見た騎士の姿。
「あ―――アルト」
―――セイバーであった。
「ルイズ、ここは危険です。直ぐに離れて下さい」
「っあなた、どうして?」
背中を向けたままここから離れるよう指示するセ
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