第十一章 追憶の二重奏
第九話 新たな光
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いてしまう。そんなギリギリのラインでロングビルたちは戦っていた。
セイバーが三体のヨルムンガンドを倒すのが先か、それともロングビルたちがヨルムンガンドに蹴散らされるの先か?
実際は明らかにルイズたちが不利な状況であった。
既にロングビルのゴーレムは再生が追いつかないのか魔力が切れてしまったのか、片手がないままヨルムンガンドの相手をしている。
キュルケやタバサの魔法も魔力が底を尽き始めたのか、散発的なものとなってしまっていた。
そして遂に、
「―――ッく?! しまっ―――」
ロングビルのゴーレムがヨルムンガンドが振り下ろした剣により真っ二つに切り開かれてしまう。
一瞬の停滞の後、ボロボロと崩れ落ちるロングビルのゴーレム。大量の土砂が山となり、剣を振り下ろしたヨルムンガンドの前に積み上がる。
「―――っは、ぁ。っも、う無理」
「魔力、が、っ、尽き、た」
同じくキュルケとタバサも地面に膝を着いてしまう。大量の汗を滴らせ、荒い息を吐きながら振り下ろした剣をゆっくりと持ち上げていくヨルムンガンドを睨み付ける。
「っ、でも、っ、まだ、やれるわよ」
「は―――あ。まだ、やれる」
ふらつきながらも、痙攣する足に力を込め立ち上がるキュルケとロングビル。
「ま、ったく。とんでもない人形だね」
自慢のゴーレムを無残に破壊されながらも、ロングビルは不屈の闘志により立ち上がった。急激な魔力の使用により視界が霞む中、それでもと残った魔力をかき集め何とか対抗しようとする。
だが、
「ちょっ―――」
「なっ、しまっ―――」
「―――ッ!?」
ヨルムンガンドは立ちふさがるロングビルたちを跨ぐようにして通り過ぎると、何とか子供たちを避難させようとしていたルイズ達へと向かっていく。
「―――え?」
地響きを立てながら急速に迫り来る巨大な影に気付いたルイズは、手を引っ張っていた子供をティファニアに預けると、杖を取り出し迫るヨルムンガンドに身体を向けた。
「く、くるなら来なさい!?」
震え上がる身体を叱咤するように大声を上げると、ルイズは杖を振り上げ詠唱を始める。
が、
―――ダメっ!?
やっぱり無理ッ!?
これまでと同じく、魔法が発動する手応えがない。
一か八かだと詠唱を唱えるが、そう都合よく魔法が発動するようなことはなく。
ヨルムンガンドはもう目の前。
手を伸ばされたら捕まってしまう。
いや、もし手に持った剣を振り下ろされれば―――
―――死―――
「―――ぁ」
気付いた時には、ヨルムンガンドは剣を振り下ろしていた。
迫る鈍く光る剣の先。
想像していたよりも緩やかに落ちてくる剣先は容易く避け
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