第十一章 追憶の二重奏
第九話 新たな光
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士郎の口にした言葉の意味が理解出来ず、ルイズの思考が同じところでぐるぐると回り続けていた。
何を頼むと士郎は言ったのか?
分からない。
何の力も持っていない自分に何を頼むというのだろうか?
ルイズが答えがでない思考の迷路に迷っている間にも、外の世界では時間は動いている。
士郎がワルドと共にいなくなると同時にヨルムンガンドたちは動き出した。
ヨルムンガンドの数は四体。
デュランダルを構えたセイバーの前には両足を切断された一体と無傷の二体の合計三体。
ロングビルとタバサ、そしてキュルケの前に一体。
両足のないヨルムンガンドはカエルのように宙を飛んではその巨体でセイバーを押しつぶさんとし、その度に地響きを伴い大量の土砂が波打ち土煙が舞い上がる。セイバーは押しつぶさんと迫るヨルムンガンドを避けながら少しずつ、しかし確実にデュランダルによりその身体を削っていく。セイバーがデュランダルを振るう度に目に見えて身体が縮んでいくヨルムンガンド。それを他の二体が黙って見ている訳が無い。飛び跳ね避けるセイバーを斬り潰さんと、森に生える木よりも巨大な剣を二体のヨルムンガンドが振るうが、掠るどころか振るわれる剣を足場にされる始末。ヨルムンガンドたちにしてみれば虫のような大きさであるセイバーに文字通り手玉に取られている。
戦局は牛歩よりも遅くではあるが、確実にセイバーの勝利に向かっていた。
しかし、もう一方。
ロングビルたち三人はギリギリの局面にいた。セイバーと違い一体だけではあるが、それでもヨルムンガンドを相手にするにはメイジ三人だけでは戦力に乏しかった。ヨルムンガンドには、主にロングビルの手によるゴーレムを中心にして相手をしていた。
ミョズニトニルンが話をしている間に密かに詠唱を唱え終えていたロングビルが生み出した三十メイルのゴーレムは、襲い来るヨルムンガンドに対する巨大な壁である。とは言え、ヨルムンガンドよりも大きいがそもそもの基本的な能力に差があり過ぎるため、壁としても実のところ頼りなさ過ぎるのである。だが、ロングビルは一人ではない。
巨大なゴーレムを巧みに操り何とかヨルムンガンドの動きを一瞬でも止めれば、その隙にタバサやキュルケの魔法が放たれる。タバサとキュルケが放つ炎の玉や氷の矢は装甲が薄いと思われる関節や鎧の隙間に向けられるが、ヨルムンガンドの体勢を僅かに崩させる程度でダメージは与えられないでいた。
反面ヨルムンガンドの攻撃は掠るだけでもロングビルのゴーレムの身体を大きく削っていく。
土ゴーレムは再生能力に優れているため、直ぐに欠損は直ぐに埋められるが、それも魔力が続く限りであるし、ヨルムンガンドの攻撃をまともに喰らえば再生することも出来ず一撃で破壊されてしまうだろう。
ほんの小さな間違いで一気に勝負がつ
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