第十一章 追憶の二重奏
第九話 新たな光
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』
言葉尻に肩を竦めて見せたミョズニトニルンは、説明が終わりに近づいていることを示すように声を僅かに低くすると首を回らせ周りのヨルムンガンドを見渡す。
『あなたが気付いた通り。ヨルムンガンドにはエルフの魔法である“カウンター”がかけてあるわ。それだけじゃなく、関節や色々なところにもエルフの魔法―――先住魔法がかけているわ。つまりヨルムンガンドは先住魔法と系統魔法による合作なのよ。そしてそれはソレも同じ』
首を下げ、ワルドを見るミョズニトニルン。
『でも、ソレは更に特別よ。関節にかけられた先住魔法によって動きは獣以上の速度。全身に系統魔法の“固定”をかけたことにより魔法も剣も生半可なものじゃ傷さえ付けられない防御力。更には、“グールヴィル伯爵の魔法”と“アンドバリの指輪”により怒りと憎しみから生まれる狂気的な凶暴性は、子を殺された竜でさえ怯えるほど』
苦労して造り上げた自慢の作品を披露するかのように、自信と自負に満ち満ちた声でミョズニトニルンは告げた。
『ベルセルク』
ワルドの新たな名を。
『いい名前でしょ』
「……貴様、碌な死に方をせんぞ」
士郎の忠告に、ミョズニトニルンは軽やかな笑みで応える。
『ふふ、人の心配よりも自分の心配をしたら? “ベルセルク”は狂った獣よ。ただ殺されるだけじゃないわ……なにせ狂っているから。原型が保っていられるかしら?―――行きなさい“ベルセルク”』
ミョズニトニルンの言葉に、見えない鎖から解き放たれたかのように石のように固まっていたワルドが士郎に襲いかかる。
「―――GGGGGGGGGGAAAAAAAAAAAAAAAAAAaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!」
「―――ッッ!!!?」
鼓膜が破けそうな咆哮と共に迫るワルドから、士郎は後ろに飛び退きながら声を張り上げる。
「ッ―――く、セイバーッ残りは任せる!! キュルケッ! ロングビルッ! タバサは時間を稼げッ!! ティファは子供たちをッ!!」
士郎の身体が森の向こうへと消える寸前。
「―――ルイズッ!! 頼むぞッ!!」
士郎は視線をルイズに向け声をかける。
木の枝を折りながら森の奥へと消えた士郎を、ワルドが草を掻き分けるように木々をへし折りながら追う。
消えた士郎を追うように視線を森へと向けながら、
「―――え?」
ルイズの口から気の抜けたような声が漏れた。
頼む?
え?
一体……何を?
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