第十一章 追憶の二重奏
第九話 新たな光
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たようだけど……。わたしにとっては関係ないわ。その研究の結果が大事なのだから』
「で、その研究とやらは一体何だったんだい?」
「違法な魔法実験と言うのでもう嫌な感じがするわね」
ロングビルが焦れたようにミョズニトニルンに問う。その横でキュルケが吐き気を堪えるかのように眉間に皺を寄せながら渋い声を出す。
『そうね、簡単に言えば、“意志を持った人形”と言うものよ』
「“意志を持った人形”?」
具体的な想像が出来ず、ロングビルが小さく首を傾げた。
『つまり。死んだ人間をまるで生き返らせたかのように蘇らせ、それを支配下に置くき“王国”を造ること』
「……それはまた、想像していた以上に随分と下衆な奴ね」
酷く冷めた目と口調で小さくキュルケが呟く。
「だが、その研究と今のワルドが繋がっているようには見えないんだが、今のワルドからはどう見ても意思は感じられない、それはどういう事だ?」
『当たり前よ。ソレにはグールヴィル伯爵の魔法の他にも色々と混ぜてあるからね。それに魔法の方も色々と手を加えているし』
「手を加えた?」
おぞましい魔法に更に手を加えると言う言葉に、士郎は嫌な予感を感じた。
『本には、“強い感情を持って死んだものを蘇らせると、その感情を元に様々な感情も蘇る”と書かれてあったわ』
新たなレシピを思いついたかのように嬉々とした様子で語りだすミョズニトニルン。
『で、それを見た時に思ったのよ。“憎しみや怒りみたいな感情だけを蘇らせれば強い戦闘人形になるんじゃないか”ってね』
「っ、最悪ね」
キュルケの吐き捨てるような言葉を聞こえなかったように無視し、ミョズニトニルンは続ける。
『グールヴィル伯爵はその可能性も指摘してあったけど、残念ながら彼にはそこまで細かい調整が出来なかったようね』
「はぁ」と溜め息を着き、でもと続けるミョズニトニルン。
『―――でも、幸運なことにわたしの手にはそれを可能とするモノがあった』
「……何よそれ」
欠片も良い予感を感じられないルイズ。
『ふふ……あなたたちも随分と世話になったんだけど。知っているかしら? “アンドバリの指輪”』
「―――ッ!? やはり貴様たちが」
予想外の言葉の中にある予想通りの結果に対し士郎が反応する。
『あら、その様子……何か知っているようね?』
「……少し縁があってな」
『まあいいわ。グールヴィル伯爵もコレを欲しがっていたようだけど、結局手に入れることは出来なかったようね。随分と悔しそうに書かれていたわ。でも幸いなことにわたしは持っていた。だから、わたしはこの“アンドバリの指輪”とグールヴィル伯爵の魔法によってソレに怒りと憎しみだけを込めて蘇らせたっていうわけ
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