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剣の丘に花は咲く 
第十一章 追憶の二重奏
第九話 新たな光
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、士郎の押し殺した声が向けられる。暗く重いその押し殺した声からは、最悪の想像から発せられたものであった。

『そんなに怖い声を出さないでよ。そんなことまでして手に入れるものではなかったから、そこまでしなかったわ。だけど、虚無の担い手がヴァリエール家の者だと知った時には、用意しておけば良かったと思ったけどね』
「……どういう事?」

 ルイズ(自分)ではなくヴァリエール家と言う言葉に、ルイズの戸惑った声が上がる。

『ふふ……ソレ(・・)はあなたと―――いえ、あなたの家とは随分と因縁があるからよ』

 ルイズの戸惑いに対し、ミョズニトニルン(ヨルムンガンド)はワルドを見る。

「因縁? 何を言っているの?」
『“グールヴィル伯爵”』
「?」

 全く覚えのない名前に、ルイズは訝しげな顔を見せる。

『その様子じゃ知らないようね。まあ、知らないのは無理もないんだけど……いいわ。今とても気分がいいし、特別に教えてあげる。“グールヴィル伯爵”という人は、元々はあなたの国の貴族よ。国王への反逆と、違法な魔法実験により処刑された貴族』
「……その『グールヴィル伯爵』がどうわたしの家に関係するのよ?」

 警戒するように身体に力を込めて問うルイズ。

『グールヴィル伯爵を捕まえたのが“烈風のカリン”だと言えばわかるかしら?』
「―――ッ!?」

 返って来た答えは、ルイズの想像の斜め上から来た。 

『“烈風のカリン”があなたの母親だってことは知っているわよ。あんたについて調べた時にわかったんだけど。まさかあの英雄が女で、それもあなたの母親だって事を知った時は随分と驚かせてもらったわ』

 器用に肩を竦めるミョズニトニルン(ヨルムンガンド)

『まあ記録には“烈風のカリン”ではなく、彼女が当時所属していた魔法衛士隊により捕縛となっているけれどね』
「何故お前にそんな事がわかる?」

 関係者しか知らないような事をスラスラと口にするミョズニトニルンに、士郎が疑問を投げかける。その疑問をミョズニトニルンは軽く投げ返す。

『書いてあったのよ』
「書いてあった?」
『グールヴィル伯爵が記した本にね』
「「「「本?」」」」 
『そう。彼の研究の全てが書かれた本。結構前に偶然手に入れたのよ。それに所々日記のようなものが書かれていたの。その中に“烈風のカリン”のことも書かれていたわ』
「研究、か。その研究とやらが……」

 士郎の視線がワルドに向けられる。つられるようにミョズニトニルン(ヨルムンガンド)の視線もワルドに向く。

ソレ(・・)を作る切っ掛けになったと言うこと』

 視線をワルドから離すとミョズニトニルンは士郎に顔を向ける。

『まあ、彼の研究は別の目的があっ
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