第十一章 追憶の二重奏
第九話 新たな光
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ンド》を造り始めた時に、まさか図ったかのように理想の材料に巡り合うなんて。ふふ……まるで運命ね』
「―――っ、ぁ―――っ!」
まるでお気に入りの歌劇の事を話すかのように弾むような声で喋るミョズニトニルンに、聞き取れない程に震えた声が向けられる。湧き上がる様々な感情に体も声も震えているのだろう。結果として明瞭としない言葉に、ミョズニトニルンの首が傾ぐ。
『あら? 何かしら?』
「いい加減にしてッ!! あなたさっきから何を言っているのっ!! わ、ワルドをッ!! ひ、人を材料だなんてっ、何がそんなに可笑しいのよッ!!」
促された者―――ルイズはもう一度ミョズニトニルンに向け言い放つ。怒り、悲しみ、恐怖、様々な感情がぐちゃぐちゃに混ざった声は、悲鳴のような怒声であった。
元婚約者であり、アンリエッタの大事な人の命を奪った裏切り者。決して許せず、明らかな敵である。しかし、死してなおこれほどの仕打ちをされる程か?
ぐるぐると余りにも多くの感情と思考が入り混じる中、知らず溢れ出たものがルイズの口から発せられていた。
そんなルイズの言葉に、
『―――だって本当に可笑しいのだもの』
ミョズニトニルンは酷く軽い口調で返した。
『ねえ、ソレの材料で手に入れるのが一番難しいものって何かわかる?』
余りにも軽くいなされ呆気に取られるルイズに、ミョズニトニルンは明らかに笑いが込められた声で問いかける。
「―――ッ!!? 知るわけないでしょっ! 考えたくもないわッ!!」
死体を弄び笑う相手の姿に、背筋を怖気で粟立たせながらルイズが悲鳴を上げる。
『なら教えてあげる』
理解出来ない化物に対するようなルイズの姿に満足気に頷いたミョズニトニルンは、暗い悦びに満ちた声で告げる。
『それは、ね―――死ぬ間際に並外れた感情を宿した死体よ』
「「「「―――ッ!!!」」」」
ミョズニトニルンの告げた言葉の意味を理解した者たちが、一斉に息を飲んだ。
『それを入手するのがどれだけ難しいかわかる? 普通に考えれば手に入れるにはそう難しいものではないんだけどね。大抵の人間は死ぬ寸前にそれなりに強い感情を見せるけど、だけど実際のところ、材料たるに値するほど強い感情を抱くものはそうそうないのよ。色々と見て回ってそれに気付いてからは諦めていたんだけど……まあ、本気で手に入れようと思ったら、実のところそう難しいものではないんだけどね。発狂させるほどの憎しみを抱かせて殺すのなんて簡単でしょ?』
「貴様」
片手間で出来るような料理を教えるかのようなミョズニトニルンの様子に
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