第十一章 追憶の二重奏
第九話 新たな光
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ーの体力を限界近くまで削ることに成功した。
「……これが」
肩を上下に激しく揺らしながら、自分の持つ剣を見下ろす。
―――これが絶世の名剣ではなく約束された勝利の剣ならば、一撃で終えられたが。
しかし、そんなことは有り得ない。
約束された勝利の剣は既に湖の貴婦人に返し。失われた。
もしもはない。
セイバーは一度大きく息を吸うと、勢い良く吐き出し目に力を込めそびえ立つ四体のヨルムンガンドを睨み付ける。
今のこの場で戦えるのは自分しかいない。
タバサ、ロングビル、キュルケは魔力が切れ、戦えるようになるにはまだ時間がかかり。ティファニアは直接的な攻撃手段がない。戦況を一変させることが出来る筈のルイズだが、今は魔力が足りず魔法が使えない状態であると言う。
しかし、もし士郎から聞いた話が事実ならば―――と、セイバーはチラリと背後を見た。
―――駄目ですか。
ルイズはペタンと尻もちを着いた姿で顔をだらりと下げ、何やらぶつぶつと呟いている。
セイバーは再度大きく息を吸うと、
仕方がありません、か。
「ッハアアアアアアァァァァァァァ!!」
吐くと同時に突撃を敢行した。
ロケットエンジンをつけているのかと疑いたくなるような急加速と共に、右手に握った剣を身体に巻きつけるように回し一気に振り抜く。
だが、
「っ―――しまっ―――」
振り抜かれた先には、何もなく。セイバーの全身に大きな影がかかる。セイバーの耳に分厚い風切り音が触れ、一瞬にして何が起きたか気付いたセイバーは頭上を仰ぎ見た。
「―――っルイズッ!!」
空にはその巨体からは考えられない身軽さで飛び上がったヨルムンガンドの姿が。膝を折りたたみ宙を行くヨルムンガンドの行く先は、未だ地面に座り込んだままのルイズの姿があった。咄嗟に駆け寄ろうとするセイバーであったが、
「―――邪魔を―――ッ!!」
セイバーの前に残りのヨルムンガンドが立ち塞がる。
『……安心しなさい。殺しはしないわ』
「何処が安心できますか―――ッ!?」
ヨルムンガンドを忌々しげに睨みつけるセイバー。
「ッ―――ルイズ」
焦燥に駆られたセイバーの目に、ルイズに向かって落ちていくヨルムンガンドの姿が映り。
「―――っな!?」
驚愕の声が上がった。
―――ああ、気付けば簡単なことだったんだ。
確かに、わたしは自分の何もかも信じられない。
だけど、ただ一つだけ信じられるものがある。
それは―――わたしがシロウを好きだと―――愛していると言うこと。
ただ、それだけは信じられ
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