第十一章 追憶の二重奏
第九話 新たな光
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』
“それは、一体何なの?”
『ふふ……ルイズ。それをあなたが自分で見つけ出せれば、必ず自分を信じられるようになります。少なくとも、その切っ掛けには十分ですね』
何で、あなたはそんなに楽しげに笑ったの?
それはそんなに良いものなの?
“そんなものが……本当に……”
『ルイズ』
強い声と目だった。
先程までの笑み混じりの声は鋭い刃物のような切れ味で、翡翠のような瞳が月光を浴びて輝き、冴えた光がわたしの身体を貫いたかと思うほどで。
ぐるぐると思考が内へ内へと回りながら落ちていく中で、そんな突然の彼女の姿に、驚き慌ててしまって。
“ぁ、え、な、何?”
『私も以前、自分の事を信じられなかった時期がありました』
そんなの信じられないわよ。
だってあなたはそんなに強いのに……。
でも……そう言った時のあなたはとても悲しげで、儚げで……。
“アルトが? 嘘。だってあなた……”
『守りたかったものが守れず。自分のせいで崩れてゆく様を見て、自分を信じられるわけがありません……』
……あなたがそんなに思うほどに守りたかったものって何だったの?
こんなにもに強いあなたでさえ、守れなかったものって……。
“アルト?”
『ですので、私は願いました。あの時、剣を抜いたのが私ではなく他の誰かならば、と……それが叶うのであれば、自分の全てを捧げても構わないと……』
……そこまで想いながら、どうして―――。
“……”
『願いが叶った結果、誰が剣を抜いたか分かりませんが、しかし、少なくとも自分でも信じられない自分よりはましだと……だから全てをなかったことにしようとしました……』
“……それは、今でも”
自分の全てを否定するようなことまでして願ったのに―――。
『ふふ……今は全くそんな気はありません』
“どうして?”
どうして?
『……ある時、願いを叶えようと言われましたが、私はそれとは別のものを願いました』
“どうして? だって、自分の全てを捧げても叶えたかったんじゃないの?”
『それよりも欲しいものがあったからです』
“……それは”
別のものを願ったの?
『それがあったから、私は自分のことを信じられるようになり、そして、全てを受け入れられるようになりました』
“……”
だから一体それは何なのよ?
『ルイズ』
“………………”
それが、わたしにもあると……あなたは言うの?
『それはどんなものよりもあなたの直ぐ傍にあります』
傍にあるとあなたは言うけど……わたしは、そんなものに心当たりなんか……。
『あなたはそれを知っていますよ。ただ、気付いていないだけです』
そんなに信じきった顔でわ
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