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剣の丘に花は咲く 
第十一章 追憶の二重奏
第九話 新たな光
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わたしの知らないシロウの姿が映っているのだろうと思い……胸に小さな痛みが走り。

“―――じゃあ……やっぱり不安になった?”
『いえ。それはないですね』
“―――……どうして?”
『ルイズは不安なのですか?』

 予想外の答えに、わたしは驚いた。
 だって―――。

“ぁ……当たり前でしょ”
『何故です?』
“―――なっ、何故ってそれは、傍にいないとか、ほら、色々とあるでしょ―――”

 うん。
 色々とある。
 シロウは目を離せば色んな女の子と仲良くなってしまうから。
 学院ではシエスタ以外のメイドとも何時の間にか仲良くなっているし、平民を良く思っていない貴族の子女とも何時の間にか親しげに話していたのをこの間見たし……本当に何時の間に、どうやったのか……。
 それに―――。

『関係ありません』
“……どうしてよ?”
『|信じていますから』
“……信じ、る?”

 ―――信じる……か。
 あなたはそう言うけど……わたしは……。

『……ルイズ、私も知っています。シロウが自分の身よりも、知らない他人を優先するような人だと。避けられるような揉め事にも自分から進んで関わりに行くような愚かであることも……何時消えるようにいなくなってしまうかもしれないことを……しかし、私は信じています』
“……シロウを?”
それも(・・・)ですね』

 それは一体何なの?
 ……あれからずっと考えていたけど……分からないわよ。

“それも? ……他にもあるの?”
『自分を、です』

 自分を信じるだなんて……出来ないって言ったのに……。

“っ……自分を信じるって……そんなのが出来るのは……自分に自信がある人だけじゃない……わたしは、あなたとは違う……わたしには、そんなこと……。”
『そうですか?』

 そうだ。

“そうよ……だって信じられるわけないでしょ……自分の事は自分が一番よく知ってる。どれだけ強がりを言っても、結局は一人じゃ何もできない……弱い自分……そんなの、信じられるわけない”
『“自分の事は自分が一番よく知っている”ですか……さて、それはどうでしょうか?』

 何で、あなたはそんなにハッキリと言えたの?

“どう言うことよ?”
『確かに自分の事は自分自身が良く(・・)知っているでしょう。しかし、全て(・・)ではありません』
“全てじゃない?”
『現に今、私はあなたが知らないものを知っています』

 あなたが知ったわたしの知らないことってなに?

“わたしが知らない? 何よそれ?”
『内からでは分からないものは、外から見れば意外と簡単に分かるものですよ』
“……そんなのが本当にあるの?”
『ええ、あります。ただ、あなたが気付いていないだけです
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