第十一章 追憶の二重奏
第九話 新たな光
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振り返る。蒼いスカートが大きく広がり一輪の蒼い花が一瞬咲いたかのように見えた。
「……首は流石に無理でした、か」
セイバーの視線の先では、何とか絡み合った状態から復活したヨルムンガンドがそれぞれ立ち上がろうとしていた。
そのうち無事であるの二体だけ。
残りの二体の内、一体は両足がなく膝立ちで身体を起こしている。
もう一体は片足がなく、こちらも同じく膝立ちで身体を起こしているが、その両腕は肘の辺りから先がなかった。
「いけると思ったのですが」
ポツリとため息混じりに呟くと、セイバーは剣を握り直すと駆け出していった。
―――昨夜?
遠目で見ながらも、その姿を負えないほどの速度で縦横無尽に駆け回るセイバーの後ろ姿を見つめながら、ルイズは心の中で小さく自問する。
それは、先程セイバーが口にしたもの。
『ルイズ、昨夜私が言った事を覚えていますか?』
『私の考えは今でも変わりませんよ』
それは、一体どう言うこと?
ルイズは目の前で死闘が繰り広げられる中でありながら、思考を数時間前―――セイバーが言う昨夜についてのことを思い出そうとしていた。
セイバーが言う何かについてはある程度は予想はついている。
昨夜。
ルイズが眠れず自然と家の外に足を向けた時、先客として外に出ていたセイバーと顔を合わせた。
その時のことを―――。
“―――ねえ、アルト”
突然声を掛けたのに、彼女は驚くことなくまるであらかじめ知らされていたかのような落ち着いた様子でわたしに向かって笑いかけて。
『何ですか?』
だからだろう。
何も考えずただ気付いたら声を掛けていただけだったのに、ずっと疑問に思っていた事がするりと口から溢れていたのは……。
“アルトは、不安にならないの?”
『“不安“、ですか?』
わたしの問いに彼女は小さく首を傾げ。
何のことか分からない。
そんな様子に、わたしは言葉を続けた。
何が不安になるのかを……。
“……うん、不安。だってあなたもシロウが好きなんでしょ。なら不安になるでしょ。シロウが直ぐに無茶することぐらい知ってるわよね。自分のこと度外視でいっつも無茶やって……近くにいないと何時の間にかいなくなってしまいそうで……なのに、あなたはここにいて、シロウの近くにいなかった……すごく不安だったんじゃないの?”
『……確かに時折シロウは無茶をする所があります……いえ、何時も無茶ばかりするような人ですね』
彼女は昔を思い出すかのように目を閉じると、口元に困ったような笑みを浮かべながら小さく何度も頷いていた。
きっと彼女の目には、
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