第十一章 追憶の二重奏
第九話 新たな光
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セイバーの耳に届くことはなかった。
それが形となる前に―――、
「ハァアアアアアアアアアァァァァァ―――ッッ!!」
セイバーは自分から迫り来る四体のヨルムンガンド目掛け駆け出していた。
背中にロケットエンジンを付けているかのように、爆音と共に大地を抉るような爆風を背に飛び出したセイバーは、剣を大きく背中につけるように振りかぶり。
「―――ッア!!」
前転でもするかのように勢い良く身体を前に倒し、右手に持った剣を振り下ろし―――。
―――一陣の風が吹く。
倒れ込みながら振り切られた剣と共に、四体のヨルムンガンドの内最も間近に迫っていた一体の足の間をすり抜けるセイバー。
一秒にも満たない刹那の間で通り過ぎ。
足の間を通り過ぎていったセイバーにいち早く気付いたヨルムンガンドが、その相手の背中を追おうとブレーキを駆ける。巨大な右足で地面を抉りながら何とか立ち止まったヨルムンガンドが、セイバーを追おうと左足を前に出し―――、
『―――なッ!?』
そのまま真後ろに倒れてしまう。
後を追っていた三体のヨルムンガンドを巻き添えにし、地響きと共に大量の土煙が上がる。
慌てて立ち上がろうとするヨルムンガンド。しかし、上手く立ち上がれない。訝しげな様子で自身の足を見たヨルムンガンドの動きが止まった。
『ッ?! ―――馬鹿なッ!?』
ヨルムンガンドの古樹の如き太さを誇る足が、人で言うならば脛のあたりからスッパリと切り落とされていた。
驚愕の声を上げるミョズニトニルン。
四体のヨルムンガンドは絡まって転がったまま。
セイバーは地面を削りながら方向転換をすると、再度一固まりとなって転がるヨルムンガンド達へと向かって駆けてゆく。
「ッ―――アアアアアアアアアアアアアアァァァァァッッッ!!」
ヨルムンガンドまで十メートルを切った地点でセイバーは大地を蹴りつけ空へと向け跳ぶ。
肩越しに振りかぶった剣先が背中に当たり―――
「アアアアアアアアッ!!」
―――一息に振り下ろされる。
『ク―――ッ!!』
ヨルムンガンドの一体が両腕をクロスさせ防御の姿勢を取る。太く魔法の掛かった腕が二つ重なったソレは下手な城壁よりも強固であり、通常ならば剣は勿論、大砲でさえ罅を入れる
のさえ難しいだろう。
―――そう。
普通ならば―――。
しかし―――、
「―――ッ!!」
『―――ナッ―――ぁ?!』
セイバーは普通ではない―――!!
勢いがつきすぎ、空中でくるくると回転するセイバー。上手く地面に足から着地すると、砂煙を上げながら勢いを殺す。血を振り払うかのように剣を横に大きく一度振るいながら背後のヨルムンガンドへと
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