第十一章 追憶の二重奏
第九話 新たな光
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ソレとコレは同じものよ』
「なに?」
「まあ、材質やらいくつか違うものはあるけど、ほぼ同じものなのは違わないわ」
「……一つ教えろ」
士郎は喋るヨルムンガンドに顔を向けながら、チラリとワルドを一瞥する。
「ワルドは……死んでいるのか」
「―――っ」
低い、押し殺したような声に、息を詰めるルイズ。
『ふふ……まあ、わかるわよね。ええ、そうよ。ソレは既に死んでいるわ。前に一度あなたも見た時にはもう死んでいた……と言うか、わたしがソレを見つけた時にはもう死んでいたわ』
正解と、小さな子供に対するような声音で返すミョズニトニルンに、士郎は目を伏せる。
「そう―――か」
『ふふ、で、何か分かった?』
士郎が精神に何らかのダメージを与えた感触に喜色を示すミョズニトニルン。何処か弾んだ声でミョズニトニルンは士郎に問いかける。
それに対し士郎は、
「―――ああ。貴様らが外道だと言うことがな」
切り裂くような鋭い眼光と共に最大の侮蔑を込めた返事を返した。
『あら? それだけ?』
嫌悪を露わにした返事を向けられながらも機嫌の良い声で続きを促すミョズニトニルンに、士郎はどれだけ抑えようとも滲み出る怒りを耐えるように両手に握る剣の柄に更に力を込める。投影した偽物とは言え、宝具である筈の干将・莫耶の柄が「ミシリ」と悲鳴を上げた。
「……貴様らは、ワルドを材料にゴーレム―――いや、魔法人形を作ったな」
「「「「―――ッ!!??」」」」
士郎の出した答えに、ルイズたちの押し殺した声なき悲鳴が辺りに響く。
『―――ッ、ハハッ!! 正解! 良くわかったわねっ!』
無言の悲鳴が広がる中、ただ一つヨルムンガンドの顔からミョズニトニルンの哄笑が響き渡る。
『っふふふ……そうよ。その通り。わたしたちはその男を材料に特別な魔法人形を作った。昔から案はあったんだけれど、材料の入手が困難でね。実のところ諦めていたのよ。だから代案としてコレを作った。けど、ソレが手に入った』
喜々として説明を始めたミョズニトニルンは、両足を切断され両手で上半身を起き上がらせているヨルムンガンドの腕を動かす。器用に腕一本だけでヨルムンガンドの巨体を維持しながら、動かしたもう一本の手で彫像のように動きを止めたワルドを指差した。
『ああ、そう言えばちょっと嘘を言ったわね。さっきわたしがソレを見つけた時にはもう死んでいたって言ったけど、実はまだギリギリ生きていたのよ。ま、ほんの僅かな時間だけだったけどね。でも、ククッ、傑作だったわ。アレを諦めて|コレ《ヨルムンガ
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