第二部 vs.にんげん!
第21話 もう、いいよ。
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換える事もできます。過去、アッシュのご家族を救うために私たちだけが集められた理由も、つまりはそういう事でしょう」
「エレアノールの言う事も一理あるけどよ」
「もし凶戦士化したのが私だったら、同じ提案はできなかったかもしれません。クムランさんの話が知れ渡れば、シェオルの柱を探す為の人手は大幅に減ります。いつも共に遺跡に潜り、戦いの中で生死を共にし、まだ助かる見込みのある仲間を……その仲間を救う為に行動できる人間を減らすのは、とても辛く、耐え難い……。結末によっては、一生自責の念に苛まれることになるかも知れません」
エレアノールは面を伏せた。
「私は提案するにとどめます。あなたの意見を尊重しましょう。どうしますか、ウェルド」
「話そう」
ウェルドは決断した。
「あいつらにも知る権利がある」
翌朝ウェルドとエレアノールは、宿舎にいる仲間を全員食堂に集めた。まだ眠っていた仲間も、ウェルドの真剣な表情を見るとすぐに身支度をした。
全員は集まらなかったが、それでも半数の七人が顔をあわせる事になった。
その中にノエルもいた。まだショックから立ち直れていないノエルにこんな話をしなければならないのが、心苦しかった。
ウェルドが話している間、誰も口を挟まなかった。話終えた後も。
沈鬱な空気が食堂を満たした。
「どうしてこんな事ばかり起きるんだろう……」
沈黙を破ったのはアッシュだった。
パスカが顔をしかめ、軽く頭を振る。
「ウェルド……それで、お前はどうするんだ?」
またも沈黙が部屋を満たす。テーブルの一番下座、全員の顔が見える位置に立ったまま、ウェルドは答える事ができない。
再びの沈黙。
パスカが、ひゅっ、と息を吸った。
「ウェルド、お前迷ってんのか?」
黙っていると、パスカは勢いよく立ち上がった。
「お前な……ウェルド! お前が迷ったりしたらあいつはどうなるんだよ! いつも一緒にいたんだろ? お前の相棒なんだろ!? 最後まであいつの味方でいてやれる奴が、お前以外に誰がいるんだよ!!」
「待ってくれ、パスカ」
弱々しい声が割りこむ。アーサーだった。
「僕たちが柱を破壊したとして、次に魔物が大量発生するのは君の故郷かも知れないんだぞ。僕の故郷かもしれない……」
「でもよ!」
パスカがテーブルから身を乗り出す。
「そりゃ、もし柱に捕らわれたのが俺だったらさ! 世界中の人と引き替えに生き残りたいとは思わねぇ。でも捕らわれたのは俺じゃねえ、ディアスなんだよ! あいつの意識がないのをいい事に、あいつの命を死神と取り引きしろっていうのか!?」
「その取り引きで何万人もの命が救えるかも知れないんだぞ! パスカ!」
アーサーも立ち上がった。
「それに、僕は貴族だからわかる……今の騎士団では
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