暁 〜小説投稿サイト〜
とらっぷ&だんじょん!
第二部 vs.にんげん!
第21話 もう、いいよ。
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ませんが、私は興味があるのです。あなた方が考え、考えに考えて出した答えが、五千年前の予言を覆す事になるか、ならないか……それを知りたい」
 誰もが息を詰めている。
 壁時計が鳴った。
 全員が肩を震わせる。零時だ。
 時計から出てきたからくり仕掛けの十三聖者が、ステージ上で回転する。
 バイレステではありふれた物だ。アルコール中毒のウェルドの教授も、よく似た時計を持っていた。
「……何が予言だ」
 ウェルドは倒した椅子を直しながら、イライラと言い放った。
「何が聖書だ! 俺たちをどうするつもりだってんだよ、クソッ!」
 クムランは押し黙るばかりであった。
 ウェルドとサドラー、エレアノールは、揃ってクムラン宅を辞した。
 ウェルドは黙っている。
 何を言っても、その言葉が自分の無能と無力を証すように思えて悔しかった。
「どうするんだ?」
 舞い散る雪の中、サドラーが聞く。
「わかんねぇよ……」
 エレアノールも、悲痛な面もちで黙っているだけだ。
「ひでぇ話だよな、よう、若いの。何でこう、いっつもいっつも割を食うのは貧乏人ばかりなんだ? アノイア教に道理ってもんがあるなら、腐りきった聖職者や貴族連中にバチが当たってもいいって思わないか?」
「……アノイア教なんざ嘘っぱちだ」
「だけど、現にあるんだぜ……予言も、シェオルの柱も」
 ウェルドは深々とため息をつき、頭を振った。
「今は何も考えられねぇよ」
「だろうな。でも、俺は正直お前が羨ましいよ。一緒に悩んでくれる仲間がいてな」
 サドラーはそう言い残して、彼の宿舎へと帰っていった。
 考えと呼べるような考えも浮かばず、ウェルドも宿舎への道を呆然と歩き始めた。少ししてエレアノールが立ち止まった。気配に気付き、振り向くと、彼女は思い詰めた表情で、雪の中に佇んでいた。
「ウェルド、この事は(みな)に話しましょう」
 彼女は言った。ウェルドはその顔を凝視しながら歩を詰め、押し殺した声で尋ねた。
「どうして」
「クムランさんは凶戦士化した人のみにこのお話をするつもりだったのでしょう。ですが、ノエルの代理で訪れた私にも話された。いつまでもこの件を秘密にはできないと、あの方もわかっているからでしょう。現に外界の魔物の出現について、あの方に意見を求める声が既に多く上がっています。
 私たちの仲間が何も知らずに柱を破壊したとしましょう。後になって全てが明らかになり、外界の混乱と多くの人の死についての負い目を、何も知らずに柱を破壊した仲間に背負わせることができますか?」
 ウェルドは目を伏せた。
「そしてもう一つ。『他人に干渉しない』というこの町の不文律は、裏を返せば各自が他人をあてにせず、自分の問題は自分で解決する、という事です。仲間内の事は仲間内で解決する、と言い
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