暁 〜小説投稿サイト〜
とらっぷ&だんじょん!
第二部 vs.にんげん!
第21話 もう、いいよ。
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量の魔物が出現しています」
「そんな! 偶然じゃ……」
「二度目までなら偶然かもしれません。しかし三度目ともなると、目を背けていることはできません。更に、遺跡内の石碑や石板などに記述された内容と、外から届く壁新聞に書かれた内容には奇妙な一致が確認できます」
 サドラーが隣でごそごそと身じろぎする。ウェルドも居心地悪い思いでいっぱいだった。
 自分達の命と引き替えに、外で大変な混乱が起きている。そんな話は信じたくなかった。
 エレアノールが促す。
「どういう事でしょうか」
「外界での魔物の大量発生が、太陽帝国の時代より定められていた、変えようのない未来であったという可能性が出てきたという事です。魔物の最初の発生から二度目の発生までの間隔が、ある石板に書かれていたのです。現在起きている出来事の、まるで予言のように……」
「じゃあ先生、予言なら柱壊したのと外の魔物の事は関係ないんじゃ」
「残念ながら現時点では無関係と言い切る事はできません。……更に悪い事に、柱の破壊と魔物大量発生の日付が一致するばかりか、回を重ねるごとに魔物の量が増し、被害が大きくなっています。これも予言の通りです」
「じゃあディアスを助けたら……先生、そしたらこれまで以上の人間が死ぬって事ですか?」
「どうすればいいんだ?」
 サドラーも口を開いた。
「なあ、先生! だったら俺たちに、あの若いのを見殺しにしろって言うのか!?」
「みなさんの判断にお任せします」
 一瞬、目の前が遠くなる。
「そりゃないぜ、先生! そんな大事な事を俺やこの若いのに決めろって言うのかい!?」
「魔物発生に関しては、三回目までは予言があるのですよね」
 と、エレアノール。
「四度目の発生についての記述はあったのですか?」
「……その問いにお答えすることはできません」
「やめてくださいよ!」
 ウェルドは厚い掌で机を叩き、椅子を倒して立ち上がった。
「そんな……そりゃねえぜ、先生! 教えてくださいよ! 何でそんな生殺しみたいな事を!」
「四本目の柱を壊したか、壊していないか……。四度目の魔物の大量発生があったか、なかったか……。もし仮に予言の内容をあなた達にお伝えしたとすれば」
 沈鬱な表情のままのクムランの顔が、ストレスによってぴくぴくと引き攣る。
「あなた方の今後の行動の一切が、予言に縛られることになるでしょう。一度予言に従えば、次の大事な局面が来た時、必ず予言に依存せずにはいられなくなります。そうすれば結果がどうであれ、責任を予言のせいにしてしまう事ができるのですから。私はそうはなって欲しくない。自分の意志で生きている、行動していると言えなくなってしまうのですから」
 ウェルドは立ち上がったままの姿勢で言葉を失う。
「……そして、誤解を招く言い方になるかもしれ
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