第五十五話 思春期H
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無様な姿を見せて、失望させるようなかっこわるい人じゃないので大丈夫です」
「……あー、逆に釘を刺されたみたいだ」
にやにやといじわるな質問をしてきたのは、そっちでしょう。とりあえず、この話は長期戦になりそうだな。レティ先輩が悩んで出した答えなら、精一杯背中を押してあげよう。俺は息を吐き、すっかり氷が融けてしまったジュースに手をつけた。
その後、相変わらず可愛いのか、可愛くないのかがわからない後輩だ、と髪の毛をぐしゃぐしゃにされた。
「そういえば、後輩も私に用事があったんじゃないのか?」
「あぁ、はい。だけど、今日はもう遅いですし、今度時間が取れたら、お願いしてもいいですか?」
「もちろんだ。……すまんな、少々自分のことを話し過ぎたようだ」
いえいえ。先輩の惚れ気というか、馴れ初め話はもう十分すぎるぐらい聞きました。
けど、レティ先輩の新しい顔を知れたのは、結構面白かった。暴走の仕方とか、誰かさんにそっくりだったしな。……そういえば、アリシアがレティ先輩に初めて会った時に、あの人と雰囲気が似ているって言っていたか。うちの妹の勘は、さすがである。
おっ、そうだ。せっかくだから。俺はタイミングよく、今日返却してもらったものを思い出した。もしかしたら、先輩にとっていい刺激になるかもしれないし、参考にもなるかもしれない。俺は頭の中で計画を立てながら、レティ先輩に向き直った。
「先輩、参考になるかはわからないんですけど、先輩と雰囲気が似ているっていう人が、俺の近くにいるんですよ」
「ん、私にか?」
「はい、今日学校で返された『観察日記』に詳しく書いたので、よかったら貸しますよ」
今度会ったらお渡しします、と約束して先輩と別れることになった。とある人物のランデブーまでの道のりを書き綴った観察日記。調べていた俺自身も、思わず感心してしまうような代物であった。
―――ちなみにその後、観察日記は先輩の愛読書になってしまいました。
******
「あのー、母さん?」
「さぁ、次はこのターゲットを狙うのよ。……ちょっと作りすぎちゃったけど、まぁ大丈夫ね」
いつも通りの優しそうな笑顔で、にこにこと無数のターゲットを作り出した母親。母さんの周りには、紫色に輝く魔力弾が無数。ちょっとって、あの、数えることすら億劫になりそうなんですが。しかもこれ、全部誘導弾ですよね。本気でだらだらと、俺の全身から冷や汗が流れた。
「それじゃあ、今から一斉に撃つから、全部撃ち返すか守るか避けるのよ?」
「待って待って待ってっ! せめて負荷を外していいですかッ!? 普通に死ねるゥーー!?」
「お母さんを信じなさい。あなたの限界ギリギリをちゃんと設定して、魔力負荷も魔力弾の数も調整し
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