第五十五話 思春期H
[8/12]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初
たいと思うには、前世の精神年齢と釣り合うぐらいに年を重ねた人だけだろう。16歳でも正直ギリギリだ。精神年齢的に言えば30代かもしれないが、俺自身の内面は死んだ時とあんまり変わっていない気がする。
なんだろう、人生の経験的なものや物事の見方はこの11年間でさらに培ったと思うが、自分が30代だという自覚が湧かない。ならいくつだろう、と思えば20代前半だと答えてしまう。まぁ、子ども時代をもう1回繰り返したって精神的に成長なんかしないか。30歳と言えば、ダンディだ。俺がそんなアダルティな人物になれたとは、どうも思えない。
まぁ、こればっかりは難しく考えても仕方がない。とにかく俺自身の見た目的にも、相手的にも10代後半は最低でも欲しい。今の俺と同じ年代でも年下でも付き合えるとは思うが、条件はやっぱり10代後半だな。せっかくの青春時代を勿体ないとも思うが、こればっかりは仕方がないことだろう。
「後輩がいいのなら、いいが。……うん」
「先輩?」
「その、な。後輩も言っていたが、私の性格はやはり……おかしいのか? あいつは私から見ても、堅物の大真面目だ。校則破壊神などと呼ばれていた女を、好きになってくれるだろうか」
実はもっと物騒な二つ名がいくつかあるのだが、それはそっと心の奥にしまっておこう。
「うーん。だからって、先輩がいきなり見た目通りの知的美人でお淑やかなふりをしだしたら、俺は間違いなく噴く自信がありますよ?」
無言で頭にチョップを入れられた。容赦がなかった。
「……なら、どうしろというんだ。私はこのままでいていいのか」
「ってぇ……まぁ、俺がいうのもなんですが、気長に考えてもいいんじゃないですか。堅物さんだと言うのなら、女性関係も硬派な人でしょうし。相手に合わせて変わることも、自分を押して変わらないことも、どっちも間違いだなんて言えないんですから。大切なのは、自分も相手も無理をしないことですよ」
「無理を?」
「先輩、英雄さんの話をする時、すごく輝いていました。恋する女の子すげー、って他人の俺が感じてしまうぐらい幸せそうでした。……そんな素敵な光を、曇らせるなんてもったいないでしょ。好きな人のために悩んだり、努力をするのは必要でも、それで無理をしすぎたら絶対にしんどいし、大変ですよ」
難しい顔で俺の話を聞く先輩。好きな人のために全力投球するのもすごいと思うし、否定はしない。だけど、俺はどちらかと言えば心配性なんだ。
「俺は先輩を応援します。今のまま変わらないことを選んだ先輩でも、変わることを選んだ先輩でも、俺にとっては大切な先輩なんですから」
「ふっ、変わっても変わらなくても、か。もし、変わるを選んだ私が、結局無理をして道を踏み外したらどうする気だ?」
「俺の知っている先輩は、後輩に
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ