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少女1人>リリカルマジカル
第五十五話 思春期H
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しく声を荒げたレティは、鳴り響いた警告音に自身もコードを入力する。研究者を捕縛したからか、念話妨害の術も切れたらしい。逃走をはかりながら、防御魔法陣を同時に展開していく。おそらく逃げ切れない、と彼女は判断した。

 5体分の機械による、自爆による威力。それを計算し、彼女は冷や汗を流した。仲間の方は、全て処理できたことには安堵する。彼らとの距離が離れている分、巻き添えにさせることはない。レティは念話を繋げ、急いで指示を出した。

『そのままそこで待機しておけ! そっちは爆発範囲外にいるから、結界を張って守っておけば問題はない。その研究者を絶対に逃がすんじゃないぞ!』
『―――そっちは!?』
『……大丈夫。かなり距離を取ったから、死ぬことは絶対にないって断言できる。だけど、防御でへとへとだろうから、あとでちゃんと拾ってくれよ?』

 くすり、と余裕を浮かべた笑みを見せながら、彼女は念話を切った。そして、すべての魔力を防御魔法へと注ぎ込む。念話で話した通り、命の危険はおそらくない。冷静に爆心地からの距離と、己の魔法障壁の強度を計算し、心を落ち着かせた。

 大丈夫、そうわかっているはずなのに、震えそうになる手を意地で押さえる。反射的に逃げ出したくなる足に力を入れ、衝撃に備える。熱風や音などによる被害を防ぐため、結界も張った。女は度胸よ、と眼前に魔方陣を3重に発動させ、胸を張ってみせた。


 そして、機械が急激な圧力によって破壊される音が響き、その圧力が遂に外へと解放された。結界という無音の中、熱と光による破壊現象を目にし、彼女はそれを直視できず顔をそむける。魔方陣から伝わる衝撃と微かに感じる熱。1枚目の魔法障壁が破れ、2枚目に罅が入る。出てきそうになった悲鳴を、彼女は懸命に殺し続けた。

 3枚目に入った時、彼女は歯を噛み締め、全力で維持にあたる。バリアジャケットが破れ、結んでいた髪紐が熱で燃えた。チリッとした痛みが頬に走り、熱風が紫苑の髪を揺らす。死ぬことはない、と宣言した通り、この魔方陣は保つだろう。多少の熱傷は、許容範囲だ。ただ痛みを堪え続けようとした彼女に―――

『まったく、変なところでかっこをつけるな』

 無音の世界で、声が響いた。頭に直接語りかけてくる呆れたような声音に、彼女は顔を勢いよくあげる。すると、先ほどまでの熱も負担も、いつの間にか消えていた。何が―――と思った時には、自分の前に誰かの背中があった。その大きな背中は、今までに何度も見てきたものだった。


「なっ、お前は何をしてッ! しかも、なんだ! その火傷は!?」

 時間にすれば、ほんの数秒の間の出来事。彼はレティの前に現れると、防御魔法をさらに重ねがけし、爆発からすべてを守ってみせた。爆風が収まったと同時に、事前にセットしておいた転移
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