第五十五話 思春期H
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彼女は恥じる。改めて地中も含め、探知範囲に含めると、どうやらあちらも戦いの真っ最中らしい。しかも、念話妨害の術も組まれている。苦戦はしていないようだが、時間はかかるだろう。そう判断を下した彼女はデバイスを握りしめ、この場を切り抜ける選択肢を選んだ。
「はぁ…、これは鍛え直さないと、訓練校に逆戻りか?」
苦笑を浮かべながら、彼女は軽度の火傷を負った腕に応急処置を施していた。複数の相手を1人だけで相手取ろうなど、もともと考えていなかった。時間を稼ぎ、逃げに徹し、時に隙を窺い迎撃する。あいつらのようにかっこよくはいかないな…、と黒髪の友人とエメラルドグリーンの髪の友人を思い出し、噴き出した。
廃墟の一角に身を隠し、呼吸を落ち着ける。笑うことができるのは、まだ余裕があるということ。彼女は笑みを作り、医療道具をデバイスへと収納した。数は全部で5体。1体は交戦の最中に片腕を落とし、もう1体は武器を破壊している。無傷なのは3体おり、敵影がない間は固まって行動するようだ。
個別に動いて探索をしてくれたら、各個撃破する方法を考えたのにな…、と彼女は小さく笑った。相対したからわかるが、装甲が薄い分、耐久性はあまり高くない。だから1体ずつ、せめて2体ずつなら彼女も動けた。だが、さすがに5体を一気に相手取るのはリスクが高すぎる。
「おっ、また破壊されたか。まったく、片っ端から壊してくるな」
情報収集のために放ったサーチャーが、また破壊されたことに気づく。大量に展開するには、魔力量の問題もあり今は控え、必要最低限のものを使っていた。サーチャーを作り出すにも、魔方陣を展開しなければならず、気づかれる可能性がある。増援が来る場合も想定して、動かなければならない。
そこまで思考していたが、空気が変わったことを彼女は察知した。動きが変わったのだ。先ほどまで機敏に動いていた機械兵士が突如動きを止め、なにやらコードのようなものが空中に描かれる。遠目からサーチャーで確認していたため、そのコードの内容は視認できない。だが、彼女の中の直感が危険信号を出した。
罠かもしれない、という不安はあったが、彼女は自身の勘を信じた。すぐに廃墟から身を乗り出し、滑るように機械兵士たちから距離をとる。身をさらした彼女に、攻撃の手はない。沈黙を続ける戦場の中、未だに首筋にピリピリとした悪寒があった。
『―――レティ! 研究者をたった今捕縛したが、その際にプログラムを組まれたッ! 小型の機械が近くにいたら、今すぐに退避しろッ! そいつらは―――』
そして、その沈黙は仲間によって破られた。
「あぁー、もうっ! これだからロボット系の研究者は! そこのロマンは私も認めるけど、やられる身にとっては、たまったものじゃないのよッ!」
珍
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