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東方虚空伝
第三章   [ 花 鳥 風 月 ]
四十二話 破壊人形
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これはね簡単に言うと“自動人形”だね、起動させた者の命令だけを実行する絡繰兵。戦で使う為の殺戮・殲滅用の道具さ、あるモノを動力に動くんだ」

「あるモノ?」

 隣に居る諏訪子が首を傾げながら問い返してくる。

「人か妖怪、子供とか成人とかは関係無くこいつの中に取り込まれると動力に変換されるんだよ。一旦取り込まれた者はもう助からない」

「……何それ……」

 僕の話を聞いていた諏訪子は反吐が出る、と言いたげに顔を歪ませる。

「七枷、これは戦用の物だと言ったな。つまり百鬼丸は戦をするつもりだという事か?」

「……可能性としては在りうるけど……ねぇ月詠、殿朗は生かして捕らえたんだよね?今何処にいるんだい?」

「ん?あぁあやつならこの屋敷の一室に閉じ込めている。元々尋問する予定だったからな」

「先に尋問しちゃおう、もしかしたら今回の件、思った以上に大きく厄介な事になるかもしれない」





□   ■   □   ■   □   ■   □   ■   □   ■




 殿朗が居る部屋に着く合間に僕は月詠に問いかける。

「そういえばあれは一体だけだったのかい?」

 僕の先を歩く月詠は視線を一瞬こちらに向けると、

「いや確か五十体は在ったな、すべて此方に運んできた」

 五十か、それだけの数を揃えるとなると……一番の問題はあれを百鬼丸が何処かに運ぼうとしたのか、自分で使うつもりだったのか、だ。

「着いたぞ此処だ」

 僕が考え事をしていると何時の間にか目的地に着いたらしく、月詠は遠慮無く引き戸を開ける。中には縛られた初老の男が一人だけ。僕は初めて合うけど彼が殿朗か。

「お願いしますお慈悲を!私は百鬼丸に利用されただけなのです!」

 僕達の姿を見た瞬間殿朗は膝立ちで床を這って来ると月詠に縋り付く様にそう懇願するが、月詠は彼を何の躊躇も無く蹴り飛ばした。
 蹴り飛ばされた殿朗は部屋の壁に叩きつけられ苦悶の声を上げる。月詠は倒れている彼に近付くと襟首を掴み無理矢理上体を起こさせた。

「貴様の懇願など聞く理由も価値も無い!貴様は我々の質問に答える時だけ口を開け!いいな!」

 月詠の怒気と剣幕に殿朗は蛇に睨まれた蛙の様に竦み上がり首を上下に何度も振る。僕は彼に近付き片膝を付け目線を合わせると、

「多分こう言う方が手っ取り早いかな……ねぇ君達の“本当の取引相手”は誰だい?」

 僕のその発言を聞いた瞬間殿朗は目を見開きさっきとは打って変わって黙り込んでしまった。そんな殿朗の様子と僕の言葉に疑問を持ったのだろう、諏訪子が声をかけてくる。

「どういう事虚空?こいつの取引相手って百鬼丸って鬼でしょう?」

「恐らくだけど彼と百鬼丸は本
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