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ソードアート・オンライン 穹色の風
アインクラッド 後編
一人ぼっち×一人ぼっち×一人ぼっち
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 無言。
 家を出てからのわたしたちの道のりは、とにかくその一言に尽きた。隣を歩くマサキ君に何かを喋ろうとする気配は微塵も見えず、わたしはわたしで何を話せばいいのか分からない。ずっと他人の話に合わせることしかしてこなかったツケが今になって回ってきたわけだ。

「それで、何処なんだ?」
「え?」
「その鍛冶屋は。一体何処にある?」

 マサキ君の問いかけでわたしがようやく我に帰ると、既にそこは第五十五層主街区《トランスペアレント・シュタッド》の転移門広場だった。どうやら、いつの間にか転移を終えていたらしい。

「あ、うん。えっと、多分この辺りで露店を開いてると思う……」

 第一層に比べて気温がぐっと下がったことにようやく気付き、遅れてやってきた寒さに身を(すく)ませながら、わたしは首を巡らせて広場を見回した。広場とそこから東へ伸びる道の境目辺り。そこがこの層での彼女の露店の定位置であり、今日も彼女はそこで売り物と携行炉を赤い《ベンダーズ・カーペット》の上に広げていた。

「おはよ、リズ」
「あれ、エミじゃない。今日は随分早いわね」
「うん、ちょっとね」

 洒落っ気のない茶髪のショートカットを二月の寒風に揺らしながら、鍛冶屋の少女――リズベットは相変わらずのサバサバとした口調で答えた。わたしは(つと)めて笑顔で返すものの、不自然になっていないかは正直不安だ。

「ま、いいわ。で、今日は何の用?」
「あ、今日はわたしじゃなくて――」

 リズに不自然さを見抜かれずに済んだことに安堵しつつ、わたしは数メートルほど後ろにいたマサキ君に視線を投げた。わたしの視線に気付いた彼が前に出る――と同時に、耳元でリズが囁いた。

「何、彼氏を自慢しに来たの?」
「えぇっ!? 違っ、そんなんじゃないよ!?」
「ふーん……。ま、そういうことにしといてあげるわ」

 ニヤニヤと意味ありげな笑みを浮かべるリズ。何故か頬の辺りが熱を帯びているのが自分でも分かる。リズはニヤニヤ笑いを続けたままわたしの背中をバシッとはたくと、マサキ君の前に躍り出た。

「あたしが一応この店のオーナーで、リズベット。リズでいいわ。そっちは?」
「マサキ」
「マサキ……その名前にその刀にその格好……アンタまさか、《穹色の風》?」
「……あぁ。そうだ」

 驚きの色を含んだリズの問いに、マサキ君は不機嫌そうな影を顔面に滲ませながら頷いた。それとは対照的に、リズは口元に自信たっぷりの笑みを刻む。

「へぇ……嬉しいじゃない。そんな有名人が来てくれるなんて、ウチの店の評判も上がるってもんよ。で、マサキ、今日は何をどうすればいいの?」
「これを」

 いつも通りの無表情に戻ったマサキ君が、蒼風の柄の部分をリズに差し出した。リズがそ
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