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久遠の神話
第百一話 託すものその十四

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「だからな」
「陸自さんで、ですか」
「そのつもりだ、欲しいな」
「一佐、お言葉ですが」
 工藤はすぐに一佐に反論した、その彼の反論はというと。
「彼はうちにこそです」
「海自さんで欲しいというのか」
「そうです、彼の様な人材は」
「おいおい待ってくれ、彼は話を聞くとうち向きだ」
「陸自さん向きだと」
「そうだ、悪いが海自さんにも空自さんにも渡せない」
 ついでにもう一つの同業者にも言う一佐だった。
「うちが欲しい」
「ですから彼はです」
「いや、うちだ」
「うちです」
「あの、それでしたら」
 二人が言い合う間にだ、高橋が入って言ってきた。
「彼がうちが」
「警察でか」
「彼を使うというのか」
「彼なら警察庁長官が直々に採用してくれますと」
「ではキャリアか」
「それで採用するつもりか」
「はい、特別任務専門の警視正とかで」
 かつて脛に傷を持つ者達で編成された七人の警官の部隊があったという、彼等の階級は全て警視正だったという。
「採用させてもらいますか」
「何っ、こちらは大学卒業と共に幹部候補生学校に入ってもらう」
「うちもだ」
 このことについては一佐も工藤も同じだった。
「そして一年後は三等陸尉だ」
「江田島で一年、約半年の遠洋航海の後三等海尉だ」
「あとは瞬く間に一佐までだ」
「警視正なぞ比べものにならない待遇だ」
「いや、ですから何で自衛隊さんなんですか」
 高橋も引かない、このことは。
「彼みたいな優秀な人材は警察にいるべきです」
「陸上自衛隊に決まっている」
「海上自衛隊の他に何処がある」
 まだ言う二人だった。
「警察は人が多い」
「彼のことは我慢しろ」
「そういう訳にはいかないですよ」
 まだ言う工藤だった。
「うちも人材は」
「それを言うならうちは数が必要だぞ」
 まだこう言う一佐だった、引かない。
「だからな」
「あのですね、警察はですね」
 高橋もまだ言う。
「少しでもです」
「そこは何とかしてくれ」
「是非な」
 こう返した二人だった、高橋には共同戦線であった。
「警察はどうにかなるだろう」
「そちらは自衛隊よりも」
「そうもいかないですよ、ですから」
「くっ、警察も中々人材については貪欲か」
「強敵がここにもいたか」
「そういうことで。とにかくですね」
 まだ言う高橋だった。
「上城君は凄い人材ですよ」
「本当に一度会いたい」
 一佐は二人との言い合いを止めてこう言った。
「彼とはな」
「はい、非常に立派な少年です」
「今時珍しい位に」
 二人も一佐にあらためて話す。
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