六話
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「先生になるための最終課題!? ああ、こんなときに明日菜さん達はなんてことを!」
案の定、最終課題の存在を知ったことで生徒達が騒ぎ出した。普通に声をかけた所で、この騒ぎはおさまらないだろう。仕方なく威圧をかけながら声を出そうとするが、ここで救いがやってきた。
「2-A! 一体何を騒いどるんだ!」
新田先生。その威厳ある叱責に、喧騒に包まれていた教室が一斉に静まりかえる。
「ネギ先生、これは一体どうしたのですかな?」
ここ最近は比較的静かであったのに、と言う声とともに此方にやってくる新田先生。丁度良い、学園長だけでなく、ベテランであるこの人の力も借りるとしよう。
「どうやら、生徒数名が昨夜の内に図書館島で行方が分からなくなったようです。今から学園長の指示を仰ぎに行こうと思っていたのですが、ついて来て頂けますか?」
「行方不明!? それもよりにもよって図書館島で! 分かりました、直ぐに学園長に報告しましょう」
先に教室を出る新田先生に続く。不安そうに見つめる生徒達に
「ちゃんと自習しているんだぞ」
と残して。
「学園長、直ぐに捜索を開始すべきです!」
「私も一度だけ訪れた事がありますが、あそこには正直度が過ぎる罠がありました。何時間違いが起こっても不思議ではありません」
直ぐに行方の分からない生徒たちを捜索すべきだと新田先生と主張するが、どうにも様子がおかしい。行方不明の生徒の中には学園長の孫も含まれている。だと言うのに、学園長からは全く焦りの色を感じない。ここに来て、この事件が一気に胡散臭いものに感じ始めた。
「そのこと、なんじゃがのぅ。実はもう生徒たちの安全は確保できておる」
「それは本当ですか!」
安全確保の言葉を聞いたとたん学園長へと詰め寄る新田先生。本当に、教師の鏡だ。それに対して、目の前にいる”魔法使い”は……
「うむ、昨夜の内に司書が安全を確保。今頃は特別反省室でこってり絞られてる筈じゃ」
罠だらけかつ複雑な作りをしている図書館島でこうも迅速な対応、そして、安全を確保したと言う結果。ここまで上手くいっていると、逆に怪しさが増すというものだ。それに、新田先生の相手をしながらも、学園長の意味深な目線が此方を見つめている。
「………………」
つまり、はそういうことだ。ああ、気にくわない。
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