第四章
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第四章
「よいな」
「うむ」
「そなたの様な者がいる」
メタトロンはそこにも見ていた。彼がこうして人間としているということにもだ。そこにもあるものを見出しそれを言葉として出すのであった。
「人はまだまだ伸びるな」
「完璧でないからこそ伸びる」
また言う神父だった。
「そういうことだ」
「そうだ。ではだ」
「帰るのだな」
「私の本来の世界にな」
天界である。まさに天使のいるその世界だ。
「そこでさらに見させてもらおう」
「そうするがいい。それではな」
「機会があればまた会おう」
こう話してだった。天使は神父の前から姿を消したのであった。
それ以降神父はだ。その信仰だけでなく学識や教養でもだ。人々を導き大きな力となった。
だが彼はそれに奢ることはなかった。あくまで神の僕としての己を忘れなかったのである。
これを見ながらだ。メタトロンは他の天使長に対して話すのであった。彼等は天界の壮厳な宮殿から人間達を見ているのである。
「あれもまた人間なのだ」
「あれもか」
「悪事を重ねている者達だけでなくか」
「ああした連中も確かに人間だ」
メタトロンはいわあゆる悪人達についても認めた。
「しかしそれでもだ」
「あの者もまた」
「人間か」
「人は善でもあり悪でもある」
彼はこうも言った。
「ああした者もいるのだ」
「では我々はそれを踏まえて」
「以後導くべきか」
「最後の審判はせずともいい」
メタトロンはそれはいいとした。
「それよりもだ。まずはだ」
「人を導くことか」
「ああした者達を見て」
「そうするべきだ。この様なものはだ」
予言の書を手に出した。そうしてだ。
その書を持つ手の平から炎を出した。それで書を焼いてしまった。後に残ったのは灰だけだった。それは風に散って消えていった。
「こうすればいい」
「では我々はこのまま」
「神の創られた世界、そして人を守り」
「導いていくべきだな」
「そうするとしよう。神と共にな」
こう話してであった。メタトロンは人間達を見守るのであった。そこには色々な人間達がいた。そして神父も。そこで人々を導いていた。
メタロトン 完
2010・8・30
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