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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百二十二話 国防委員長
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に一時的にフェザーンを預けてくれと説得したらしい。独立商人達がその声に応えた様だ。ペイワードは彼らの支持を起点に他の勢力の支持を得ることに成功した。今の所暫定政権にあからさまな敵意を示す勢力は無い。それなりにフェザーンを掌握していると考えて良いのだろうとバグダッシュは分析している。

「一昨日、そのフェザーン臨時政府のペイワード代表から私に連絡が有った」
“ほう”という声が上がった。皆興味津々だな。
「自分がフェザーン臨時政府の代表である事、地球教とは関係ないので信じて欲しいと言っていた」
ボルテックも同じ事を言っていた。

「他には何を?」
ターレルが問い掛けた。
「三つ有った。先ずフェザーンでは多くの人間が統治の形態を変える必要があると考えているらしい。これまでのように自治領主にすべてを任せていてはとんでもない事になる、為政者の行動をもっと監視すべきだと」

「それは議会制民主主義を導入しようというのかな?」
「はっきりとは言わなかったがそれらしい事を匂わせていた」
トリューニヒトとターレルの遣り取りに会議室がざわめいた。仲間が増えた、嬉しい、そんな感じだな。水でもぶっかけてやるか。

「こちらの好意を得ようとして耳障りの良い事を言っている、その可能性も有るでしょう」
皆が不満そうにこちらを見た。可愛げがないと思ったか。だがトリューニヒトが“その可能性は確かにある”と俺を擁護した。

「二つ目はフェザーンの独立についてだ。同盟政府は現時点でもフェザーンの独立を認めるのかを確認してきた。これについては認めると答えた」
トリューニヒトの答えに反対する人間は居ない。フェザーンは独立させ帝国との緩衝地帯として利用する。その事は同盟の安全保障の基本方針だ。

「最後の三つ目だがペイワード代表は正式に国交を樹立したいと言ってきた」
うん、ちょっと微妙な空気だな。皆困惑している。
「諮問委員長のいう耳触りの良い事というのは当たっているかもしれん」
「確かに、条約を少しでも有利にと思った可能性はあるな」
トレルとマクワイヤーの遣り取りに皆も頷いている。

「ペイワード代表には後で返答すると答えて通信を切った。後は諮問委員長、君から頼む」
どうせなら最後まで説明してくれればいいのに……。これじゃ俺がトリューニヒトの腹心みたいじゃないか。非常に不本意だ。
「議長から相談を受けて一番最初に考えた事はフェザーンが帝国にも接触しているのではないかという事です。同盟と帝国、その両者を上手く操り少しでも有利な条約を結ぼうとしているのではないか……」

俺が周囲を見回しながら言うとホアンが“フェザーンのお家芸だな”と皮肉った。好感度低いよな、フェザーンは。
「レムシャイド伯を通して帝国政府に確認しました。フェザーンは帝国に
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