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亡命編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百二十二話 国防委員長
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大凡の計画ではあるが十五ヶ所を廃し三ヶ所を新たに設けたいと考えている」
「新たに三ヶ所というのは?」
ラウドが問い掛けた。地域社会開発委員長だからな、有人惑星に基地が造られれば自分にも関係するとでも思ったか。或いは増やすことなど無いと考えたか。

「今後、軍はイゼルローン方面だけではなくフェザーン方面の防衛体制も考慮した防衛計画を策定しなければならない。新たな三ヶ所の基地は何れもフェザーン方面に設立する。その内の一ヶ所は惑星ウルヴァシーを想定している」
“ウルヴァシーか”と誰かが言った。皆ウルヴァシーが前の戦争で後方支援の拠点になったことは知っている筈だ。ラウドはちょっと残念そうだ、あそこは居住可能だが無人惑星だからな。

「軍は惑星ウルヴァシーをフェザーン方面の重要な戦略拠点にしたいと考えている。出来れば同盟市民を入植させ生産機能も持たせたい」
ネグポンの言葉に皆が顔を見合わせた。
「良い案だと思う、居住可能惑星を放り捨てておく必要はない」
「同感だな」
ラウドとトレルが積極的に賛成した。

まあこれでネグポンも最高評議会で上手くやっていけるだろう。どうしても他の委員長達に押されがちなんだよな。おまけに和平が近付いたことで予算の削減を迫られている。その所為で国防委員会、軍内部にネグポンの力量を不安視する人間がいるらしい。上手く立場を創ってやらないと政府でも軍でもネグポンは居場所が無くなる。国防委員長は実力者のポストなんだ、それなりにどっしりと構えてもらう必要がある。

取り敢えず捕虜に払う予算は確保した、その分人員の削減は受け入れる。但し五年で四百万、捕虜の受け入れを考慮すれば実際には二百万だ。軍だって人員の削減は受け入れなければならない事は分かっている。五年で二百万なら文句は言えないだろう。まあこの辺りは既にトリューニヒトとホアンで話はついているんだけどな。今日正式にネグポンから最高評議会に提案された事になる。なかなかの仕事ぶりだと思われただろう。ネグポンには政府と軍の仲介役になってもらわなければならん。

「ところで、皆フェザーンの状況は知っていると思うが?」
トリューニヒトが皆を見回しながら問い掛けると何人かが頷いた。不審そうな表情をしている人間は居ない。先日、フェザーンでは暫定政権が発足した。名前はフェザーン臨時政府と表明している。

代表者はマルティン・ペイワード、元々は第四代自治領主ワレンコフの元で補佐官を務めていたらしい。ルビンスキーが第五代自治領主に就任した時点で補佐官を辞任し民間に戻った。どうもワレンコフの死に不審を感じた様だ。ルビンスキーに殺されたとでも思ったのだろう。地球教の事は知らなかったと表明している様だが真実は分からない。

ペイワードはフェザーンの現状を憂いて自らフェザーン人達に自分
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