Development
第三十三話 蠢く思惑
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わからない。もしかしたら、ISの開発から今に至るまで彼女には想定済みで世界は彼女の掌の上で踊らされているんじゃないのかと思うことすらある。
そこまで考えて僕はそれを振り払う。馬鹿馬鹿しい、意図的に世界の軍事的な緊張を高めて何をするというのか。そもそも、それでは妹の箒さんを守りたいという彼女の根本的な想いからかけ離れている。
彼女の目的は、箒さんを守ること。そのための手段としてアルティメット・フォームが必要だと言った。でも、なんのために……?
駄目だ、情報が少なすぎる。
「篠ノ之博士が絡んでいるかもしれないのね?」
僕の考えていることがわかっているかのように、楯無さんが問いかけてくる。
問いかける、といってもその言葉は半ば確信をもっているように思えた。
「たぶん、ね。どの部分に関わっているかはわからないけど無関係ではないと思うよ。でも相変わらず連絡が取れないんだ」
僕の言葉にも特に表情を変えることなく、やはりといった様子でうなずく。
「ま、想像に想像を重ねて推論を積み上げても碌なことにはならないわね。まずは目の前の状況に対応していきましょう」
その日の話はこれで終わる。
でも、一連のことを考えるたびにチラつく束さんの姿を僕は最後まで振り切ることができなかった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「全く……楯無のことといい今回のデュノアのことといい、お前は運が良いのか悪いのか」
翌日、千冬さんに事の顛末を報告すると彼女は頭を抱えながら、呆れたような声をかけてきた。
「あ〜、うん。そうだね……反省してます」
僕の正体が二人にバレて、それを公表されるどころか味方になってくれるなんて普通に考えればあり得ないことで。これがもし他の人だったらこうはいかなかったかもしれない。
結果的に、僕は味方が増えたけれど都合のいいことがそう続くとは思えない。これから先は、もう二度とこんなことがあってはいけないと思う。
「まぁ、いい。デュノアの件も了解した、あとで私も直接事情は聞くがこのままで問題ない。学園でのサポートは私もしよう……裏に関してはお前と更識が動くのだろう?」
特に僕から持ちかけることもなく千冬さんはこちらの思惑を理解してくれた。千冬さんの立場からしたら、当然ながら学園側に報告するべき事案にも関わらず、それをしない。
基本的に、彼女は国にも学園にも縛られない。ただ自分が正しいと思うことをする、それはどれだけ大変なことなのだろう。
「僕……というよりほとんど楯無さんだけどね。下手な小細工を学園に持ち込まれたことにけっこう怒ってたから……こうなってはデュノア社には正直同情するよ」
学園側のサポートは、クラスの担任である千冬さんができる
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