Development
第三十三話 蠢く思惑
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「あの……西園寺さんはなんで僕のことを? 確かに僕は西園寺さんのことを知ってしまったけど、それはお互い様だから脅すこともできたのでは?」
デュノアさんと話してからしばらく、彼女も落ち着いたようで再びお互いのことを話し合った。
彼女の一人称が僕に戻っているが、どうやら入学前に男として振る舞うように徹底的に刷り込まれたらしく、今ではそちらの方が違和感がないらしい。
僕もそのことを自分に重ねてしまい、よっぽど苦い顔をしていたのだろう、デュノアさんが僕を見て苦笑いしていた。
「さっきも言ったけど、他人事だと思えなかったから、かな。僕と君は似ている、家に振り回されISに翻弄され、自分の意思なんて関係ない。でもここでなら、少なくとも僕や楯無さんなら今の君を受け入れるよ。たぶん、千冬さん……織斑先生もね」
デュノアさんの問いに、僕は素直に答える。結局は自己満足なのかもしれないけれど、力になりたいと思った。もちろん、自分の正体がバレないようにしたいという打算的な部分があったことは否定しない。でもそれ以上に、彼女の話を聞いて助けたいと思った気持ちは嘘じゃない。
彼女も僕の話を聞いて同じように感じているのか、複雑そうな顔をしつつも一応は納得したようだ。
「ところで、シャルちゃん。この件にフランスはどこまで関わっているのかしら?」
突然の横やりに、先ほどまでのしんみりとした空気が一変する。
その声の主……楯無さんに直前まで浮かべていた笑みはなく、その表情は真剣そのものだ。口調は相変わらず軽いが、そこに込められた圧力は僕らの意識を強制的に切替えさせた。
「わかりません……最初はデュノア社の独断だと思ったけど、よくよく考えたら僕が代表候補生になった以上は無関係であるはずないですよね」
「となると、いつでも切り捨てられるように伏せていた可能性が高いわね。まぁ、いいわ。とりあえず、紫苑君に日常生活における注意事項を聞いたら今日は部屋に戻りなさい。あまり部屋に戻るのが遅いと不審に思われるでしょ? 生徒会とかに関する細かいことは、また後日話しましょう」
その言葉に僕は頷いて、デュノアさんに思いつく限り気を付けるべき事柄を説明する。男の立場から違和感を持ってしまいそうなことなどを中心に、織斑君との同部屋でありえそうなこと……特にシャワーの使い方や着替えに関する注意をした。必ず鍵をかける、鍵をかけられない場所では着替えないこと。こういうのを忘れたときに限って織斑君入ってきそうだよね……うん。
「織斑君ってラッキースケベ体質を絶対持ってるわよね」
というのは楯無さんの談。僕も何故か妙に納得してしまった。
あと、授業で着替える際に大変なら最初から着込んでおけばいいと伝えると、何故か驚いた表情で固っている。どうやら気
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