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ロウきゅーぶ 〜Shiny−Frappe・真夏に咲く大輪の花〜
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「まあ、久々会ったわけだけど……ほら、これ」
サキは水色のワンピースを着て、浅めのキャップを被っていた。ただそんな格好で走り回ったり跳ね回ったりしたら色々残念なものが見えると思うのだけれど。
と思って何かのチケットを受け取る。バスケの試合か、うちの県と隣の県のバスケチームの試合、公式の試合でも結果を出している二チーム……
「うおっとと、マホに預けると風で飛ばされるから私が持っておく」
「信用ねぇな私……ま、いいか」
今日は風が強い、責任はサキに全部押しつけるとしてだ。たまにはバスケを見る側に回るのもいいかもしれない。
「ちょっと昴、来てるなんて全然知らなかったんだけど!!!?」
夏にも関わらず少しばかり肌寒い廊下に甲高い声が響く。
長い髪を後ろで一本にまとめた、勝ち気な瞳を湛えた大人っぽさの中にも幼さを残す彼女は、薄く白い頬を桃色に染めながら膨らませ、きっ、と猫のように睨む。
「ふう……まあ、ごめんな、葵」
「ごめんなじゃないわよっ!!!! 美星さんが教えてくれなきゃ気づかなかったんだから、また私の事なんてほっぽってどっかいく……」
昴は頭を掻く。上下共にバスケの試合着に着替え体も温まっている。
「……ま、まあ良いけどさっ。折角なんだから格好いいとこ見せなさいよねっ!」
「まあな、しっかり決めてやるさ」
笑顔を返し、昴は控え室へとつま先を向け足を踏み出す。
その時だった。
「す……」
「あ、マホちゃん」
「あっ……」
出会ったのだ。私とサキは、すばるんとあおいっちに。今のサキの一言は残念ながら聴き逃せなかった、聴き逃せなかった……!!
「久しぶり、マホちゃんも試合見に来たんd」
「こう言うことかよ、サキ」
「マホ……」
「久しぶりじゃんすばるん、元気そうで何よりだよ」
血が下唇から滲んでいるような錯覚すら覚えた。顔の筋肉がうまく働かない。自分はものすごく変な顔をしているのではないだろうか。
「今日の試合、すばるんも出るんだ? すげぇじゃん、ファン想いの立派なスターだ、最高のプレー期待してっかんね」
「マホ……行きましょう」
「……………」
すばるんは何も言わないでいた。私も何も言わない。何も言わずにきびすを返す。
「……すいません、長谷川さん」
「……今日のところは、試合を楽しんでくれると嬉しい」
サキは走っていく私を追いかけてきた。絶対に追いつかせまいと思っていたら、段差に足を引っかけバランスを崩し、左手を強く床に付く。それが決定的に二人の距離を縮めた。
「あのさぁサキ、休養思い出した
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