水の巫女の再来・後編
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もの触手を伸ばして5人の侵入者を絡め捕ろうとする水のカオス。
「そうはいきませんでスよ……!<サン…っ」
「ビル、ちょっと待って……?!<バサンダ>!」
「<サンガー>!!」
黒魔道士の男の子が思い切り放った雷属性の上級黒魔法は、水のカオスだけでなく周りの者にまで効果が及んでしまうが、
直前に白魔道士の少女が雷属性軽減魔法を放ってくれたお陰で、大事に至らずに済む。
「ふえぇ、すみませんでス! 水中だって事忘れてましたぁっ」
「……これでは捕われたままの彼女にまでダメージが及んでしまう、雷属性の黒魔法は控えた方がいい」
赤魔道師の青年に云われ、気を取り直すビル。
「わ、分かりましたでス! じゃあせめて、物理攻撃が得意そうな皆さんに攻撃力アップを……<ストライ>!」
「わたしは防御白魔法を……<プロテス>!」
黒魔法と白魔法の援護のお陰で戦士ルーネス、シーフのランク、赤魔のイングズは強力な斬撃によって水のカオスを追い詰めていく。
「さっさとエリアを放せよ、このイカタコヤローっ!」
『フオ゙ォ?! 我ノ人魚………我ノ娯楽ヲ奪ワレテナルモノカ……!』
───突如、ガバッと裂けたおぞましい口から濃密な黒い墨を広範囲に吐き出す水のカオス。
「ンな゙……!? くそッ、何も見えねェ……!」
5人の人間の視界を奪った水のカオスは白魔法で回復する隙を与えず、連続で容赦ない触手の打ち付けによって反撃すらさせずに、さらに全員を触手で絡め捕って体の自由を奪い絞め殺さんとする。
(ゔぅ……! あのクラーケンと似た奴に、またエリアを奪われるなんて、イヤだ……っ。彼女を取り戻すまで………何度だって、助けるんだ……!!)
《────ユメのナカでナンドもカノジョをスクったトコロで、ホントウのカノジョはスクえはしないよ────》
(ユ………メ? ちがう、そうじゃない、"これ"は────っ)
「オレらは………オレは、アイツを迎えに行かなきゃなンねーんだよ……。テメーみてェなタコなんぞに、構ってるヒマはねーンだッ!!」
───光が迸った。視界が、晴れてゆく……?
あのシーフが、いつの間にか触手から解放されておりその手には、自身の等身より二倍以上はある蒼く透き通った刀身の大剣を持っている。
その剣が放つ蒼き清浄な輝きに水のカオスは身悶え、他の4人と1匹の人魚を触手から手放していく。
───刹那、サファイア色の瞳のシーフはクリスタルブレードを縦一直線のひと振りで水のカオスを真っ二つにし、そこから巻き起こった光の渦と共に跡形もなく消滅させる。
………それを見届けるかのように、
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