水の巫女の再来・後編
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ア……、やっぱり元の彼女に戻ってきたんだ。イングズも気づいたろ? 口調が前と同じだ……!」
ルーネスは嬉しさを隠せない。
「最後の土のクリスタルの元に行けば────最終的に感情が戻り、エリアという彼女が元に戻る………?
(そうなのか、本当に)」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「────エリア……、水の欠片が3つ、君に戻ったから、思い出してるんじゃないか? あの時のこと………。おれを庇った事で、君は────」
「水の巫女として、当然の事をしたまでです。
────光の戦士を、1人でも失うわけにいきませんから」
彼女はルーネスに背を向けたまましっかりとした口調で話すが、感情は込もっていない。
「それにわたしは────あの場で死ななくても、近い内に死んでいたでしょう。───同じ事です」
「けど君は、こうして生き還って……!」
「わたしは生き還ってなどいません。───既に死んだ存在です」
「なら……今の君は何だっていうんだよ…!?」
「────わたしは、生き還りたかったわけではありません」
土のクリスタル祭壇前に現れていた、白く輝く次元の裂け目に1人毅然と入り込む彼女。
「わからないよ……エリア、君はいったい……っ」
「分かるわよ、きっと。この4つ目のクリスタルの"先"へ行けば────」
「そうだね……、それがもし耐え難い事でも、僕らは受け入れないと」
励ますように云うレフィアとアルクゥ。
「 …………… 」
「ルーネス、彼女が望むようにしてあげるべきだ。
────行こう、そして見届けなければ」
肩に手を置き、静かに語り掛けるイングズ。
「 ………うん 」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
─────そこは、妙な空間だった。周囲は暗闇に包まれているのに、比較的高い位置にある蒼白く荘厳なクリスタルの王座のある円形の空間は、淡い光に満たされている。
その王座には────彼女が座っていた、眠るように。
そして、それを見上げるように佇んでいるのは─────
『夢を視た………、彼女の夢を。望んでいた………生き還るのではなく、生まれ変わる事を』
「あんた……まさか、あの赤魔道士……?」
目を見張る銀髪の少年。
『────違う、"彼"はもういない筈。私は───彼ではない』
おもむろに振り向いたのは、黒曜石のような黒い瞳を持ち、長く雪のように白い髪、無感情でありながら端正な顔立ち。
────羽根つき帽子はしていないが、風のクリスタルの"先"で逢った、目の色の異なる赤マント姿の彼と、酷似している。
「では問うが………、貴殿はシーフの
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