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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
【第359話】
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いると――。


「うふふ、ヒルトくんってばだんまりしちゃって……擽っちゃおうかしら」

「げ……。 や、止めてください――正直擽られるのは一番体力奪われるので――」

「あら? うふふ……そんな事訊いちゃうと意地悪したくなっちゃうおねーさんの悪戯心♪」


 よくわからないが、この人の悪戯心に火を着けてしまったようだ。

 目の前の楯無さんはさっきとうって代わり、手をワキワキと動かしながら俺に触れようとしたその時、室内に響き渡るノックの音――。


「ヒルト、ちょっといいかな?」


 ドア越しにそんな声が聞こえてきた――シャルだ。

 何にしても、これで擽られずに済むと思うとまさに渡りに舟というやつだろう。


「あぁ、入っていいぞ? 鍵は開いてるし、遠慮なく入っても問題ないぞ」


 そう返事をし、楯無さんの顔を伺うと残念そうな表情のまま、動かしていた手の動きを止めてまたベッドに腰掛けた。


「じ、じゃあ入るね? お邪魔します」


 そう言って入ってくるシャル――室内で俺の姿を見つけるや、笑顔になったシャルだったが……。


「いらっしゃーい」

「え……」


 楯無さんがシャルに手を振って挨拶をすると、急に動きが固まり、きょとんとした表情を浮かべた。

 だがそれも束の間、きょとんとした表情から無表情へと変化していき、目には光が宿らない虚ろな瞳で真っ直ぐと俺を見つめるや、ゆっくりと絞り出す様に言葉を吐いた。


「ヒルト、楯無さんと何してたの……? 部屋で二人きりで……」


 何を勘違いしてるのかはわからないが、明らかに今の無表情と虚ろな瞳、そして吐くように呟く言葉が言い様の知れない恐怖というものを俺は感じる。


「え、えっと……ちょっと楯無さんから報告受けてて――ですよね、楯無さん?」

「うふふ、さあ? どうかしらね〜♪」


 まさかの言葉に、ぎょっとする俺――と、楯無さんは立ち上がるとするりと俺の腕を取り――。


「男と女が部屋で二人きりでする事って……数えるほどしか無いじゃない?」

「…………っ!?」


 楯無さんの言葉に、更に目が虚ろになっていき、漂うオーラが黒いものを感じる。


「た、楯無さん!? じ、冗談は止めてくださいよ!?」

「あはは♪ じゃあ私はそろそろおいとましようかしら? シャルロットちゃん、ごゆっくり〜♪」

「はい」


 絡ませた腕をほどき、ひらひらと手を振ってその場から去る楯無さん。

 そんな楯無さんに呪詛の言葉を吐きつつ、俺は今のシャルにどう説明しようかと内心穏やかでは無い状況に、背中に冷たいものを感じる思いだった。
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