第一話 友を得る白馬
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いる事が理解出来て、俺も意地悪く笑い返した。
「クク、直ぐ戦いたがるお転婆娘になんざ惚れる事はねーよ」
「はっ、逃げ腰だった方が言ってくれる。まあ、あなたの臆病さに免じて、これで勝負を付けても構いませぬが?」
俺が言うと鼻で笑った趙雲は酒瓶をトントンと軽く叩いた。
彼女が軽くおどけてみせたのは、昏い話は止めて今は酒宴を楽しもうと伝えていたのだ。だから俺が貶して見せると、案の条同じように貶し返してきた。
こんな関係は居心地がいい。
酒呑みでは負けるつもりなど毛頭無いが、さすがに出会った初日に酔っぱらったまま公孫賛と相対するのは気が引ける。
「したいのは山々なんだがな……義を通してくれた人に礼を失するのはしたくないからさ。机の上の酒を全部開けちまうのはあの人が来てからでいいだろう」
「ふむ、伯珪殿ならば立会人として最適か。最近気疲れしているようですし、心浮かせる余興としても十分」
指を一つ口に当てて思考を巡らせ始める趙雲は俺の提案を呑んでくれたようだった。
さらには、彼女も公孫賛に対して思う所があるようで、それを聞いた俺にいい案が思い浮かんだ。
「余興ってのは幾つあってもいいもんだ。趙雲殿、よかったら俺と楽しい悪戯をしないか? 来たばっかの俺じゃ出来ない事だから」
にやりと笑って言う。彼女は俺を訝しげに見つめた。
「あのな、公孫賛殿に――」
説明すると、彼女は意地悪く笑い返して俺の悪戯に乗ってくれた。
さて、気に入ってもらえるとありがたいんだがな。
†††
早めに切り上げたとは言っても、仕事が終わったのはやはり暗くなってからだった。
使いを出す暇も無かったので、急いで牡丹と並んで子龍の部屋に向かう。もしかしたら酒好きのあいつにやられて潰れてしまっているかもしれない、と考えながら。
「子龍と二人で酒宴をして、徐晃は潰れてないかな?」
「あれから八刻ほど掛かってますから危ういかもしれません」
「だよなぁ……」
勧めてから失敗したと思った。子龍は部屋に幾つも酒を持っているから、例え徐晃が酒に強かったとしても、渡した酒が切れたら飲み続けているだろう。
でも、心のどこかでは期待していた。あいつの誘いを断って、私と食事する事を待っていてくれてるんじゃないだろうかと。
不安と期待が綯い交ぜになった胸を押さえたまま歩き続けること幾分、漸く子龍の部屋に辿り着いた。
中からは何やら楽しげな笑い声が聞こえてきて、潰れていない事と二人が仲良くなった事を教えてくれる。
ほっと胸を撫で下ろし、扉を開けようとすると……向こうから扉を開けてきた。
「……私が来たと分かったのか?」
「あの方のおかげで全く酔っておりませんからな。待ちくたびれ
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